夢健究会
フレイル(Frailty)は病名ではなく、加齢とともに筋肉や心身の活力が低下し、健康障害を起こしやすい状態を表す言葉で「虚弱」の意味があります。高齢になればある程度の衰えは自然のことですが、高齢者の多くはフレイルを経て要介護状態に至るといわれています。最近、何となく体調が優れない、人との付き合いが億劫になる、足腰の筋力の衰えを感じている場合は、フレイル予備軍である可能性があります。コロナ禍により外出する機会が減り、さまざまな要因が重なることでフレイルのリスクは高まっていきます。今回はフレイルの種類や予防、対策などをお伝えしていきます。
フレイルは大きく3つの種類に分けられます。それらの要素が連鎖していくことで心身の老いは急速に進みます。
(1)身体的要素
筋肉、骨、内臓などの運動機能や身体機能の虚弱、衰えることを指します。外出や運動量、食事量の減少によって栄養不足の状態になると、身体機能が衰えてしまいます。進行するとサルコペニアやロコモ(ロコモティブシンドローム)に繋がる恐れがあります。サルコペニアは加齢や疾患、それによる運動不足、栄養不足が原因による筋肉量の減少によって全身の筋力が極端に衰えた状態です。ロコモは筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板など運動器に障害を患い立つことや歩くことの機能が低下します。
(2)精神・心理的要素
無気力やうつ傾向、認知機能が低下する精神的な衰えを指します。定年退職、パートナーとの死別などにより生きがいを失うことが要因となることも多く、不安や軽度の認知症の状態、ストレスを溜めやすくなります。
(3)社会的要素
一人でひきこもることが多くなり、社会との繋がりが希薄化することで生じることが多く孤食や社会からの切り離されてしまうことで、運動不足や栄養不足から身体的、精神・心理的要素を併発しやすくなります。
□買い物で2kg程度を運ぶのが困難になった。
□外出する機会が減った。
□ダイエットしていないのに体重が減った。(半年で2~3kg程度)
□横断歩道で青信号の間に渡るのが難しい。
□疲れやすくなった。
1つでも当てはまればフレイル予備軍の可能性、3つ以上当てはまればフレイルの可能性があります。
握力が低下している人は全身の筋肉が衰えている可能性があります。
高齢者の圧力平均
60代 男性 39kg~42kg、女性 24kg~26kg
70代 男性 34kg~37kg、女性 22kg~23kg
フレイルの判断基準
男性 28kg未満、女性 18kg未満
栄養(食、口腔機能)、運動、社会参加の3つの柱は、お互いに影響し合っています。どれか1つだけをすればいいというものではありません。3つの柱をうまくリンクさせて自分の生活サイクルに組み入れていくことが大切なのです。
□栄養
身体は食事からできているといっても過言ではないため、主食と主菜、副菜といったメニューを用意し、しっかり噛んで食べましょう。また、歯の状態が良くないと飲み込む機能の低下につながります。歯の定期健診を受けましょう。
□運動
1日中、自宅で過ごすことが多くなると脳への刺激が減ってしまいます。ウォーキングなど無理のない程度に体を動かしましょう。庭いじりなども有効的です。
□社会参加
健康長寿のためには、食事や運動だけでなく、人との関わりも大切な要素です。社会参加すると誰かと話したり、笑ったりと生活に充実感を得られます。また趣味やレクリエーションを楽しむことで健康面や体力面に自信がつき、人生に生きがいを感じるだけでなく、認知症を防ぐためにも良いことです。
1.タンパク質を摂る食事
高齢になるとタンパク質を筋肉に変える力が衰えてくるため、肉や魚、卵、豆類をしっかり摂りましょう。
1日に必要なタンパク質量は体重1kgあたり1gですが、高齢者は1.2~1.5gのタンパク質を摂ることが望ましいです。
2.筋力を鍛える運動
●グーパー運動
1.両手を胸の前までまっすぐ伸ばす
2.グーとパーを30回以上繰り返す(1日2セット)
●ペットボトルを使った運動
1. 500mlのペットボトルに満タンの液体を入れて手で持ち、手首を手前に10回倒す
2. 逆向きに10回手首を動かす(1日2セット)
自分がフレイルであることに気づけない人も多いので、普段から意識することがフレイルを予防する第一歩と言えます。早い段階で気づき、適切な対策を行うことで比較的簡単にフレイルの状態から抜け出すことができます。皆さんも今日から意識して健康な身体を維持していきましょう。
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