ゴースト血管を防ぐには

ゴースト血管を防ぐには

 血流が悪いと「冷え性」や「むくみ」などの症状が思い浮かびますが、加齢疾患、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、認知症などに毛細血管の血流不足が関わっていることが研究によってわかってきました。今回は、20代からも起こりうる「ゴースト血管」になる原因と予防や対策についてお伝えしていきます。

血管の種類と役割

 私たちの体内で重要な役割を担っている血液。その血液を全身に流す血管には動脈、静脈、細小動脈、毛細血管の4つに分類されます。動脈は、血液を心臓から送り出し、酸素や栄養素を運ぶ役割をします。静脈は、血液を心臓へ戻し、体内から二酸化炭素や老廃物を回収する役割があります。毛細血管は、動脈や静脈の末梢がさらに細かく枝分かれし、網目状となって身体の末端までつながっている細い血管です。直径にして、0.1mmで赤血球がやっと通れるくらいの太さです。全身の血管の総長は、約10万km(地球2周半)にもなり、99%は毛細血管が占めています。毛細血管は、動脈から運ばれた酸素や栄養素を臓器や組織、細胞の1つ1つに送り、組織中から老廃物や二酸化炭素を受け取って、静脈へ送っています。また、ウイルスや細菌が感染した部位へ免疫物質を運ぶ役割も担っているのです。血流が悪くなると、毛細血管が免疫物質を運ぶ力も低下するため病気にかかりやすくなります。また、病気にかかると治りにくくなります。さらに体温調整、ホルモンを運び情報を伝達する働きもあり、血液循環や新陳代謝の主役ともいえます。

ゴースト血管とは?

 毛細血管の壁を構成している細胞同士の間には隙間や孔があります。その隙間から栄養分や酸素が適度に浸透することで細胞に必要な物質が届けられます。しかし、加齢、紫外線、活性酸素などにより、毛細血管が傷ついてしまうと隙間や孔が広がり、栄養分や老廃物が漏れ出てしまうことで身体の末端まで行き届かなくなります。その状態が続くことで血管がより狭くなり、次第に血流が途絶え、菅はあるのに血流が流れない状態=ゴースト血管となるのです。さまざまな原因により、早ければ20代から起こり、60代以上になると約4割の毛細血管が消えてしまうといわれています。

ゴースト血管の原因

 その前に自律神経についても少し触れていきます。自律神経は、体内の臓器や器官の働きを私たちの意思とは無関係に自動調整してくれる神経です。そして体温と自律神経には深い関わりがあります。自律神経の中でも活動時に活発になる交感神経が優位になると、体内で脂肪を燃焼させて熱を生成し、血液を温めて全身に送り込んで体温を上昇させ、発汗し始めます。ただストレスなどが原因で交感神経が活発化しすぎて、副交感神経が働かなくなると、逆に血管収縮が激しくなって血流が滞りがちになります。そうなると身体の末端の毛細血管まで血液が届かず体温の低下を招き、手足や内臓が冷え機能が弱まってしまうのです。体温が下がって体内で熱が作られにくい状態になると、身体の免疫力低下にもつながります。その結果、血流を滞らせてしまい「ゴースト血管」を生み出す原因となっています。

 ゴースト血管は加齢とともに始まりますが、過食、お風呂に浸からずシャワーだけで済ます、立ちっぱなしや座りっぱなしの生活、身体を締め付けるほどのタイトな服装の着用、素足やサンダルを履いて歩く、不十分な水分摂取、添加物の多い食生活、冷たい飲料ばかり飲む、喫煙、飲酒、運動不足、睡眠不足などもゴースト血管を招く要因となっています。

ゴースト血管による症状

1.シワやたるみ

 肌の細胞に栄養や酸素が行き届かず、ハリや潤いに関わる繊維が弱体化する。

2.目のクマやくすみ

 目元には毛細血管が密集しているため、血管が衰え血管が滞ると現れます。

3.抜け毛や乾燥肌

 毛根の下にも毛細血管が密集していると毛根に栄養が行き届かず、抜け毛や髪の乾燥にもつながります。

4.骨の脆弱(ぜいじゃく)化

 骨の関節にある滑膜(かつまく)を介して毛細血管から栄養が届けられています。そのため、毛細血管が老化すると栄養が行き届かず骨が弱っていきます。

5.むくみや肥満

 毛細血管が衰えることでリンパ管が水分や老廃物を回収しきれず、水分や老廃物が血管外に漏れ出るためです。

6.身体の冷え

 血管が衰えることで血管が滞り、身体の末端から冷えが生じます。

 また、高血圧、高血糖、脂質異常などが重なると、動脈硬化を進行させ、健康や美容にも影響を及ぼす可能性があります。

ゴースト血管セルフチェック

□不安感や気分が落ち込むことが多い

□だるさが抜けない

□イライラすることが多い

□髪の毛が抜けやすくなる

□白髪が増える

□頭痛がよくある

□顔がくすんできた

□目の下のクマが気になる

□シミやシワが気になる

□ニキビができやすい

□めまいがすることがある

□耳鳴りがある

□のどが渇きやすい、口臭が気になる

□胃痛や胃もたれなど胃の調子が悪い

□便秘

□月経痛がある

□むくみやすい

□あざができやすい

□手足が冷える

□ひざが痛くなることがある

□爪がもろく割れやすい

皆さんは、いくつ当てはまりましたか?

0~4個:まだ血流は悪くなってなさそうですが、生活習慣に気をつけましょう。

5~10個:毛細血管が老化し始めています。生活習慣を見直しましょう。

10個以上:かなり毛細血管の老化が進んでいます。すぐに生活習慣の改善に取り組みましょう。

爪で分かる目に見えない毛細血管の状態

爪を圧迫して色のチェックをしてみてください。

①人指し指の爪をもう片方の手で上下にギュッと強くつまみ、5秒間圧迫します。

②つまんでいた指をパッと離し、爪の色を観察してください。2秒ぐらいで元のピンク色に戻れば毛細血管は健康です。2秒経過しても白っぽいままなら毛細血管がダメージを受けている可能性があります。

毛細血管を若返らせる予防と対策

1.血液の若返りが期待できる食べ物

 サンマ、アジ、納豆、トマト、カボチャ、大豆を積極的に食べましょう。

 魚や大豆製品には良質なタンパク質が豊富に含まれており、健康な血管をつくるカギとなります。トマトやカボチャなどの緑黄色野菜は抗酸化成分を豊富に含んでおり、血管内の健康を促進します。一方で、塩分の摂りすぎは血圧上昇につながりますので注意しましょう。厚生労働省が推奨している成人の一日の食塩摂取量は、男性8.0g、女性7.0g未満です。この分量は元来食塩の摂取量が多い国民性を考慮しての目標値とされており、身体が必要とする一日の平均食塩摂取量は、1.5gです。

 その他、ルイボスティ、シナモン、ヒハツも老化した毛細血管を若返らせたり、毛細血管を増やしやすい食材といわれています。毛細血管の内皮細胞にある受容体Tie2(タイツー)が毛細血管を強くしています。

 ルイボスティには、活性酸素を中和するフラボノイド(抗酸化作用)が豊富に含まれており、動脈硬化、糖尿病、胃弱、便秘、ストレス緩和などに効果が期待できます。シナモンはビタミン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などの栄養と抗酸化物質が含まれており、毛細血管の老化、老化予防に役立ちます。ヒハツは、老化や劣化した毛細血管の修復、新しい毛細血管を作り出すなど血流を良くして血圧を下げる効果があります。

2.適度な運動

 運動には有酸素運動と無酸素運動があります。有酸素運動は、筋肉を動かすエネルギーと一緒に血糖や脂肪も使うため、筋肉への負担が軽い運動でウォーキングやジョギングが挙げられます。身体への負担が少ない運動は血流を良くするため、ウォーキングは1日20分を目標にややきついと感じるほどの速さで歩くようにしましょう。一方で無酸素運動は、筋肉に強い負担をかけるもので筋肉トレーニングなどがあります。筋肉の細胞の中にあるミトコンドリアが増えて熱を生み出す力がアップしていきます。ミトコンドリアは私たちが身体を動かしたり、考えるのに必要なエネルギーを生み出しています。つまり、筋肉を増やしてミトコンドリアを増やすほど、代謝が良くなります。ミトコンドリアを増やすには、有酸素運動が週3回以上、無酸素運動も週2~3回以上を組み合わせて行うことが一番良いです。成長ホルモンがたくさん分泌され、健康な毛細血管が増えていくといわれています。特に夕方に行うことが有効です。それは冒頭でも述べたように人の身体は起床から昼間までは交感神経が優位で積極的に活動し、夜になると睡眠中に副交感神経が優位となり、身体と心のバランスの調整を行っています。交感神経と副交感神経が切り替わる夕方は、柔軟性や肺機能が高まり、身体にとっては運動に適した時間帯となります。

3.十分な睡眠

 1日6~7時間以上の睡眠をし、早寝早起きの生活を心がけましょう。起床時には日光を浴び、就寝前の携帯電話やパソコンなどの電子機器の使用は控えましょう。また、アロマなどでリラックス効果を高めて睡眠環境を整えることも大切です。

  

まとめ

加齢などで毛細血管が減少することは仕方ないですが、ゴースト血管は何歳からでも復活できます。それは、質の良い血液を血管内に届けることです。全身に栄養と酸素が行き届くことで、毛細血管が徐々に復活し過剰な漏れが抑制されます。また血管壁の修復も促進されて血液が強くなっていきます。強くてしなやかな血管を維持するには食事バランス、適度な運動、十分な睡眠が欠かせません。日常の生活を見直し、健康な身体を築いていきましょう。

ライター

夢健究会

ライター

私たち会員は
人々の尊い命に畏敬の念を抱き
神秘なる自然の摂理に抗うことなく
自然の恵みに感謝しつつより多くの人々に
夢を持って人生を楽しみ
健康な天寿を
究められる様 祈念して
研究し、助言し、援助する団体です。

SEARCH

CATEGORY

GROUP

KEYWORD

  1. 健康
  2. 三七人参
  3. 食生活
  4. 自律神経
  5. 食事
  6. 会員の声
  7. ストレス
  8. 睡眠
  9. アルコール依存症
  10. アンチエイジング
  11. 運動
  12. 食養生
  13. 老化防止
  14. 交感神経
  15. 認知症
  16. 血管
  17. 動脈硬化
  18. 副交感神経
  19. エアコン
  20. 美容
  21. 自律神経、交感神経、副交感神経、寒暖差疲
  22. 入浴
  23. 文山
  24. コレステロール
  25. アレルギー
  26. 皮膚
  27. 血液
  28. 三七畑
  29. 肝臓
  30. 歯周病
  31. 頭痛
  32. 漢方
  33. 酸欠
  34. 脳梗塞
  35. ダイエット
  36. アルツハイマー
  37. 熱中症
  38. 腹八分目
  39. 免疫
  40. 若見え
  41. 寒暖差
  42. 難聴
  43. LDL
  44. いびき
  45. 無呼吸症候群
  46. 血糖値
  47. 食物アレルギー
  48. 乾燥
  49. 難聴と認知症の関係性
  50. 文山旅行記
  51. 筋トレ
  52. 痛み
  53. 白内障
  54. HDL
  55. 東洋医学
  56. ストレッチ
  57. 花粉
  58. 養生
  59. 寒暖差アレルギー
  60. 血糖値スパイク
  61. 高血圧
  62. 腰痛
  63. 生活
  64. 掃除
  65. カビ
  66. ウィルス
  67. 酸素欠乏症
  68. タンパク質
  69. 夏バテ
  70. 梅雨
  71. 低体温
  72. スマホ
  73. 冬場 寒暖差
  74. 紫外線
  75. マスク
  76. マスク生活
  77. 深呼吸
  78. 心臓
  79. 骨粗しょう症
  80. 秋バテ
  81. 筋肉
  82. 六月
  83. 日焼け
  84. 葉酸
  85. ミオパチー
  86. 筋ジストロフィー
  87. 先天性
  88. 遺伝子
  89. ステロイド
  90. 指定難病
  91. 不登校 起立性調節障害
  92. 活性酸素
  93. 抗酸化
  94. 寝相
  95. 寝返り
  96. 長寿
  97. 帯状疱疹
  98. 口内炎
  99. 痛み,腰痛
  100. 腎臓
  101. 免疫力
  102. 鼻水
  103. 鼻詰まり
  104. 副鼻腔炎
  105. 痛風、尿酸値、高尿酸値症
  106. 気象病
  107. 誤嚥性肺炎
  108. 幸せホルモン
  109. ヒートショック
  110. ホメオスタシス
  111. こむら返り
  112. 恒常性
  113. 妊娠
  114. 妊婦さん
  115. パートナー
  116. カルシウム
  117. 低血圧
  118. 立ちくらみ
  119. 突発性難聴
  120. 体臭
  121. 加齢臭
  122. 便秘、下痢
  123. 文山、文山旅行記
  124. たばこ
  125. 心筋梗塞
  126. 肌荒れ 美容 皮膚
  127. 梅雨 梅雨時期 養生
  128. コレステロール,LDLコレステロール,H
  129. 笑い
  130. セロトニン
  131. オキシトシン
  132. ドーパミン