夢健究会
男性のおしっこトラブルはなぜ起こるのでしょう?
冬に近づくと特に気になる方は多いのではないでしょうか?
ここでは、代表的な疾患の症状・原因・改善方法を教えます。
【前立腺肥大症】
前立腺肥大症とは、前立腺が肥大することにより尿道が圧迫されて、排尿障害をきたす病気です。50歳頃から加齢とともに増加し、50歳代男性では20~30%、80歳以上になると80~90%が前立腺肥大症になるといわれています。通常の前立腺の大きさはクルミ大くらいで、これが肥大してくると鶏卵大以上になり、症状が進むと尿が全くでなくなる事もあります。
【過活動膀胱】
急に起こる我慢出来ないような強い尿意(尿意切迫感)を主症状とする症候群です。正常な膀胱は脳からの指令によってコントロールされていますが、過活動膀胱では何らかの原因により膀胱がコントロールを失ったような状態となり、少量の尿で膀胱が過剰に収縮してしまい、我慢出来ないような強い尿意切迫感が急激に起ります。そのため、トイレが近くなったり(頻尿)、就寝後何回もトイレに起きたり(夜間頻尿)、強い尿意によりトイレにたどりつくまでに我慢が出来ずに尿が漏れる(切迫性尿失禁)などの症状を伴います。
【前立腺肥大症】
・おしっこの勢いが弱い(尿勢低下)
・おしっこが途切れる(尿線途絶)
・おしっこが出るまで時間がかかる(排尿遅延)
・お腹に力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)
・排尿後も尿が残っている感じ(残尿感)
【過活動膀胱】
・急な強い尿意 がまんが難しい(尿意切迫感)
・トイレの回数が多い(頻尿)
・急な尿意 がまんできずに漏らす(切迫性尿失禁)
・夜中に何度もトイレで起きる 1回以上(夜間頻尿)
【前立腺肥大症】
加齢とともに発症の割合が増える病気で、はっきりとした原因はまだわかっていませんが、男性ホルモンの関与が指摘されています。前立腺は男性ホルモンによってその働きを維持しているため、加齢によりホルモンバランスが変化する影響を大きく受けると考えられます。他の原因には、遺伝や肥満、高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病との関連もあるとされています。組織学的な前立腺肥大は30歳代から始まり50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳で90%にみられます。その中で排尿症状を伴い治療を必要とするいわゆる前立腺肥大症は1/4程度と言われています。
前立腺とは?
前立腺は胱のすぐ下に位置し、尿道のまわりを取り囲むように存在している生殖器のひとつで、男性にしかありません。前立腺から分泌される前立腺液は精液の膀約30%を占め、精子を保護して栄養を供給し、運動を促す働きを持っているなど、生殖機能に重要な役割を果たしています。さらに、射精の際に前立腺の収縮によって精液が尿道へと送り出され、排尿時の尿道収縮をコントロールする役割も担っているとされています。
男性にとって重要な器官である前立腺は平均的な体積が20mlあり、大きさや形が栗の実に似ています。前立腺肥大症では前立腺の大きさが卵やみかん程度にまで大きくなってしまうため、尿道や膀胱が圧迫されて排尿障害の症状が起こります。日常生活に支障が出てくる場合もあります。
【過活動膀胱】
過活動膀胱は前立腺肥大症のある人の50~75%に過活動膀胱の症状があるといわれます。
原因は、脳と膀胱を結ぶ神経の障害で起こる神経因性しんけいいんせいのものと、それ以外の非神経因性ひしんけいいんせいのものがあります。
→神経因性過活動膀胱
脳卒中や脳梗塞のうこうそくなどの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄損傷せきずいせそんしょうなどが原因で起こります。脳と膀胱を結ぶ神経の伝達に障害が起きると「膀胱に尿がたまったよ」「まだ出してはいけないよ」「もう出していいよ」「膀胱を緩めるよ」「尿道を締めるよ」といった信号のやり取りが正常に働かなくなります。
その結果、膀胱に尿が少ししかたまっていなくても尿を出そうとしたり、脳と膀胱の連携がうまく働かず過活動膀胱の症状が出るのです。
→非神経因性過活動膀胱(神経トラブルとは関係ない原因)
●骨盤底筋のトラブル
女性の場合、加齢や出産によって、膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋こつばんていきんが弱くなったり、傷ついたりすることがあります。そのために排尿のメカニズムがうまく働かなくなり、過活動膀胱が起こります。
・尿意があったらすぐトイレに行き、我慢しない
・便秘にならないよう心がける
・身体を冷やさない
・アルコールや刺激物を控える
・長時間座り続けることを避け、こまめに立ち上がる
・日常的に続けられる適度な運動を習慣付ける
・過剰な水分摂取を控える
・膀胱訓練
→トイレにすぐ行ける環境下でおしっこを我慢し、膀胱の容量を少しずつ増やすトレーニングです。膀胱炎など尿路感染症になりやすい方には向きませんので、医師と相談して行うようにしてください。
・骨盤底筋体操
→ 筋力が低下した骨盤底筋群を鍛えるトレーニングです。腹圧性尿失禁の改善のために行われてきたトレーニングですが、過活動膀胱の場合も効果が期待できます。筋肉を強化できるまでにある程度時間がかかりますが、長く続けることで高い効果を期待できます。また、進行予防や再発予防にも有効です。
・薬物療法
膀胱の収縮を抑制する抗コリン薬やβ3受容体作動薬などで症状改善に導きます。投薬方法や効果の出方、現れる可能性のある副作用が異なる薬が複数ありますので、患者さんの状態や体質、ライフスタイルなどにきめ細かく合わせた処方を行います。
今回紹介した、【前立腺肥大症】【過活動膀胱】は合併症としても有名です。
50歳以上の男性の前立腺肥大症患者さんのうち55.9%が過活動膀胱を合併していたという報告があります。
やはり加齢が原因として多いのですが上記で紹介した改善方法は予防も含まれています。
悩む前に是非お試しください!
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