ホメオスタシスとは?

ホメオスタシスとは?

 ホメオスタシスとは 「生体恒常性」ともいわれ、体を一定の状態に保つはたらきのこと。ひとことで言うと「体内環境の調整役」です。外の環境の変化に対応して健康を維持するホメオスタシスは寒くなったり、暑くなったり、低気圧になったり、雨が降ったり、湿度が高くなったり。環境は常に一定ではありません。その環境の変化に体が対応できなければ、夏、暑くなれば体温もどんどん上がって、36度、38度、42度・・冬、寒くなれば体温もどんどん下がって、15度、10度、5度、・・こうなってしまっては、人間は生きていけません。
●夏、暑くなったら、汗をかいて熱を逃がして体が熱くならないように
●冬、寒くなったら、筋肉をブルブルッとふるわせて熱を作って体が冷えないように
 環境の変化に反応して体を働かせて、健康な状態を維持し、生命を維持しようというのがホメオスタシスです。
 当たり前のことですが、お腹がすかなければきちんと定期的にはご飯を食べないでしょう。のどが渇かなければ、水分補給を忘れてしまうかもしれません。
 実際に、冬は夏のようには水分をとりませんよね?
 冬はのどが渇かないから、自然と水分をとらなくなるのでしょう。この延長で、まったくのどが渇かなかったら、まったく水分をとらなくなってしまうのではないでしょうか?
●水分が必要なのに、のどが渇いていないからそのことに気づかない
●栄養が必要なのに、お腹がすいていないからそのことに気づかない
 これでは、健康でいられるはずがありません。体の状態の変化に応じて、いろいろなサインを出して行動をうながしているのも、ホメオスタシスというしくみのおかげなのです。

体を治すのは治療や薬ではなく、自然治癒力

 自然治癒力は、自律神経、免疫系、内分泌系(ホルモン)の3つが互いに連携しながら働いています。ホメオスタシスをコントロールしているのもこの3つです。ホメオスタシスによって私たちの体は一定の状態に保たれ、生命や健康が維持されています。しかし、ストレス、不安、緊張、恐怖、不快といったものによって自律神経のバランスが乱れると、免疫系や内分泌系にも影響してしまいます。その結果、ホメオスタシスがうまく機能しなくなって、不調を引き起こすことにつながるのです。ホメオスタシスがきちんとは働くようにするためにも、なるべくストレスを受けないように、ためないようにして、自律神経を整えることが大切です。

ストレスによって、分泌が増えるホルモンと減るホルモン

 ホルモンバランスは、ストレスの影響を強く受けます。その結果さまざまなホルモンの分泌量が増えたり減ったりします。ストレスがかかると、分泌が増えるホルモンはアドレナリン (副腎ずい質ホルモン)成長ホルモンのアドレナリンは言うまでもなく、交感神経の働きをますます促進するホルモン。分泌が増えることでますます交感神経が優位になって、体への負担が大きくなってしまいます。ストレスがかかると、分泌がおさえられるホルモンでインスリン (血糖値を下げる働き)は性ホルモン糖尿病、高血圧、胃潰瘍、月経異常なども、ホルモンバランスの乱れが影響しています。おおもとの原因であるストレスをなるべくためないようにすること、そして体をゆったりリラックスさせるよう、普段の生活で心がけてください。

自律神経と筋肉の関係

 自律神経と筋肉は、とても深い関係にあります。体の不調に悩む人は、筋肉が緊張している状態にあるのです。あまり自覚していなくて、整体の先生に「体が固いですね」といわれて気づく人もいるでしょう。しかし、「ストレスが多いから体ガチガチなのよ」と、不調の原因がストレスであることを理解している人も増えているように感じます。筋肉の中には、血管、リンパ腺、神経、が走っています。そこでホースに水を流す場合に例えて、どのように深い関係にあるのか、もう少し詳しくみてみましょう。交感神経が優位になると、活動している時やストレスを感じている時は交感神経が働いて、筋肉が緊張して固くなって血管は細くなります。いわばホースの口を指でギューッとつまんだ状態。水は“シューッ”と勢いよく出ますよね。

筋肉が緊張する(かたくなる)⇒ 血管が ギューッ と収縮する(ちぢむ)⇒ 血液が流れにくくなる(血流障害)⇒ 血圧をあげてシューッと流す

 交感神経になるのはおもに昼間の活動中。環境の変化にとっさに対応して栄養や酸素をすばやく全身に補給するために、つまり、いつでも血液をシューッと遠くまで流せるように準備しているのです。副交感神経が優位になると、リラックスしている時や休息している時は、副交感神経がはたらいて、筋肉の緊張がほぐれて柔らかくなり、血管は広がります。いわば太いホースのような状態。水は“トロトロ~”っとゆっくり流れます。

筋肉がほぐれる(やわらかくなる)⇒ 血管がフワッと弛緩する(ゆるむ)⇒ 血液が流れやすくなるので、血圧が下がって安定する

 副交感神経になるのはおもに夜の睡眠中。とっさに反応する必要がないので、血液をすばやく遠くへ流すことよりも、ゆっくりと栄養や酸素を全身に届けて体をじっくりと回復しているのです。自律神経はバランスが大切です。これだけ見ると、副交感神経の方がいいように思えますが、大切なのは 『両者がバランスよく働くこと』 です。交感神経ばかりでは体が疲れてしまいます。筋肉もかたく、体が緊張しっぱなしなので、血液も流れにくいし疲労物質も排出されないので、疲労はたまる一方です。

 副交感神経ばかりが優位でも血液が“シャーッ”と流れないので、酸素や栄養が全身のすみずみにまで行き渡りにくくなります。これは脳軟化症(脳梗塞)の原因にもなるんです。とはいえ私たち現代人は、体や精神的なストレスが多すぎて、交感神経ばかりが働く傾向に。筋肉の緊張が続いて、さまざまな体の悩みを引き起こしています。マッサージをされると眠くなるように、筋肉の緊張がほぐれると副交感神経に切りかわって、回復モードになります。普段の生活でこまめに筋肉をほぐすことがとても大切です。

まとめ

 いかがでしたか?ホメオスタシス(生体恒常性)と自律神経の事を少しでも理解して、より良い「生活の質」「生命の質を」を高め苦痛の軽減、精神的、社会的活動を含めた総合的な活力、生きがい、満足度を高めましょう!

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