夢健究会
心臓はみなさんの胸のほぼ中央にあり、大きさはこぶし大の筋肉でできた臓器です。心臓は常に体の状態に合わせて拍動し、血液を全身に送り出し、生体ポンプの ような役割を担っています。心臓は、私達が寝ている時も、活動している時も、一日のうちに約10万回も拍 動しています。 今回はその心臓のメカニズムについて解説していきたいと思います。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役目をしており、車で例えるとエンジンで す。心臓は、体で一番重要な臓器です。心臓は右心房、左心房、右心室、左心室の4つの部屋にわかれ、それぞれの部屋と部屋は、「弁」で隔てられています。弁はポンプの動きに応じて開閉し、血液の逆流を防ぎます。血液の流れは一方通行で、左心室から送り出された血液が全身をめぐって右心房に戻り、右心室から送り出された血液が肺を通って左心房に戻ってきます。(図下参照)
中国の古書に、「心とは生の本」と書いてあるのですが、心は生命活動を担う臓器 です。心の拍動が止まってしまうと、生命も終わりを迎えてしまいます。古代中国では、心が精神活動の中心とされていたようです。
心は意識や思考を司る器官です。物事を考えたり、判断したり、行動するといった精神活動に関与しています。心が働くと、全身に血液が巡り、意識が明晰になり活動的になります。
心の機能が弱まると、動悸、不正脈、胸苦しさなどの循環器系の不調から大きな 病につながることが考えられます。全身の血が不足して、貧血、息切れ、顔色や舌が悪くなり、手足の冷えが強くな ります。心の状態は汗や舌に反映されます。多汗症、舌がもつれる言語障害、味覚障害なども心の変調が影響しているとされます。
また些細なことで驚いたり、不安を感じやすくなるなど、精神状態にも影響が現れてきます。判断や記憶力の低下、よく夢を見て、眠りが浅くなるなど、睡眠障害につながることもあります。心が関係する感情は「喜」です。喜びも過剰になると精神のバランスが崩れ、ちょっとしたことで悲しみを感じるようになってしまいます。
そして、心臓病の危険因子の中で忘れてはならないのがストレスです。過度のストレスによって自律神経や内分泌系に変調が起こります。交感神経が刺激され、カテコールアミンというホルモンが分泌され、血圧や血糖値を上昇させ、心拍数を増し、心臓の収縮を促すように働き、このような状態が続くと心臓機能が低下しやすくなります。ストレスから心臓病を発症しやすいタイプの人は、一定の行動パターンがあり、仕事熱心で凡帳面、負けず嫌いなどが特徴で、過度のストレスにさらされがちです。そのため過食、飲酒、 喫煙、不眠に向かいやすく、心臓病を発症するリスクも高くなっているのです。
心臓の病気は、不健康な生活習慣の積み重ねが原因となっていることも多いのです。近年、増え続けているのが生活習慣病の一つである「虚血性心疾患」です。動脈硬化や血栓などで心臓の筋肉に必要な酸素や栄養が行き渡りにくくなります。急に激しい運動をすると、心臓の筋肉が一時的に血液不足となり、主に全胸部、ときに左腕や背中に痛みや 圧迫感を生じます。
心臓疾患の代表的なものに、狭心症と心筋梗塞ですが、これらの病気は心臓の筋肉を養っている冠動脈に血管障害が起こり、心臓の働きに異常が生じることで発症します。冠動脈の血管障害は血管がもろくなり、内腔の一部が狭くなり血液がスムーズに流れな くなってしまいます。いわゆる動脈硬化の状態です。
動脈硬化は加齢によっても進みますが、過度のストレス、過食、偏食、運動不足、喫煙 などの生活習慣が原因です。ですから、心筋梗塞の発作からの突然死を避けたければ生活習慣を改め、病気を予防することが大切です。
自覚症状がある人は、早期に検査を受け、治療を受けることをおすすめ致します。
強いストレスがかかると、そのことだけを考えてマイナス思考になりがちです。自分をいたわることも大切だと考え、散歩に出たり、好きな音楽を聴く時間を作ったり、気分転換をして、無理をせず休む。疲れたと感じたら思い切って休む。休んだり、趣味を取り入れる事で心身のエネルギーを取り戻せます。
ほとんどの人が仕事でストレスが溜まるようです。ガーデニング、手芸、楽器演奏などの 趣味を持つことで楽しむ時間が増え、ストレス解消になります。入浴は疲労回復やストレス解消のために有効ですが、心臓の悪い人には事故になる危険もあるので注意しましょう。
①湯の温度 「熱めのお湯に入らないと、風呂に入った気がしない」と言われる高齢者が多いのです が、42度以上の熱い湯は血圧を一時的に上昇させ、入浴直後の数分間は心臓に大きな負担がかかり危険です。ですから、38~40度くらいのぬるめのお湯に10分~15分入るの が負担が少ないでしょう。
②入浴時間帯 食事の直後、飲酒後などは、血液が胃に集まっているため、食前より心臓に大きな負担がかかります。食後に入浴するのなら1時間以上経ってからにします。飲酒後も、とても危険ですから控えること。
③入浴の仕方 浴室に入ったら、心臓に遠いところから順にお湯をかけてなじませます。それからゆっくりと浴槽に身体を沈めていきます。湯舟から出る時は、急に立ち上がらずにゆっくり動くこと。心臓が悪い人は入浴前は家族に、声をかけておくことも大事です。
①1日のエネルギー摂取量を守る 生活習慣病と心臓病の危険因子である肥満。身長に合った適正な体重に戻し、それを維持する。無茶なダイエットではなく、栄養のバランスよく、食べ過ぎないことが大切。
②血液、血管を丈夫にする食材をとる 血中コレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する食品を積極的に取り入れる。
(あじ、さば、さんまなどの青魚、いか、貝類、にんにく、玉ねぎ、セロリ、カリフラワー、 トマトなど)
③脂肪、塩分、糖分のとり過ぎ 濃い味付けは身体をボロボロにしてしまいます。薄味の和食が生活習慣病を遠ざけます。
④食事に必ず食物繊維を取り入れる 1日30gの食物繊維をとることをおすすめします。余分な脂肪、塩分、糖分排泄を促して くれます。
⑤外食はなるべく控える 特に手軽に食べれる丼、ハンバーガー、ラーメンなどは高カロリー、高脂肪なので控えましょう。
食べ方のポイント
①1回の食事に30分以上かける 早食いは食べ過ぎにつながります。1回の食事に30分以上かけるということは、一口食べ たらよく噛むことです。よく噛んで食べると満腹中枢が適切に刺激され、食べすぎを防げます。
②夜10時以降の食事を避ける 心臓病を発症しないためには、心臓に負担をかけないこと。深夜近くにガッツリ食事にお 酒という人は危険です。夜食にラーメンもやめましょう。
③規則正しく食事をとる なるべく同じ時間帯に食事をとるようにする。食事を抜いたり、いつも不規則な時間に食 事をすると代謝にかかわるホルモンの分泌が乱れ、生活習慣病を発症しやすくなります。
いかがでしたか?恐ろしいことに日本での2021年度の死因ランキングでは、心臓疾患で亡くなられる方が二位で、その割合が15%もおられます。日常でのマインドセットや、食事を意識して元気で健康的な生活を送りたいものですね!
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