更年期の症状はなぜ出てしまうのか

更年期の症状はなぜ出てしまうのか

更年期とは、一般的に40代後半から50代にかけて訪れる「閉経」をはさんだ約10年間の時期を指します。この時期、女性の体は大きな変化を迎えます。最も顕著なのが、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」の分泌が急激に減少することです。
このホルモンの変化がきっかけとなって、心身にさまざまな不調が現れます。これが「更年期症状」と呼ばれるものです。しかし、なぜホルモンの変化だけで、これほど多くの症状が出てしまうのでしょうか?

更年期の症状が出る原因

1. 女性ホルモン「エストロゲン」の減少

 女性の卵巣は、思春期以降、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」を分泌して月経周期をコントロールし、妊娠・出産の準備を行っています。特にエストロゲンは、女性の体や心の健康に深く関わっており、以下のような働きがあります。

・子宮や乳腺の発育を促す

・骨の健康を保つ

・血管をしなやかに保つ

・脳の働きや感情の安定に関与する

・肌や髪のハリ・ツヤを保つ

ところが、40代後半になると卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が不安定になり、やがて大きく減少していきます。この急激なホルモンの変化に、脳や身体がうまく対応できないことが原因で、様々な症状が現れるのです。

2. 自律神経の乱れ

 エストロゲンは、脳の視床下部という場所にある「自律神経の中枢」に働きかけ、体温調節・発汗・睡眠・感情などをコントロールしています。エストロゲンが減少すると、この視床下部の働きが不安定になり、自律神経が乱れます。

 その結果、

・急にほてる(ホットフラッシュ)

・汗が止まらない

・寒気がする

・不眠になる

・心臓がドキドキする(動悸)

などの「自律神経失調症に似た症状」が現れます。

3. 心理的・社会的ストレス

 更年期は、身体だけでなく心理的・社会的にも変化の多い時期です。たとえば、

・子どもの独立や反抗期

・親の介護や看取り

・夫婦関係の変化(定年、別居など)

・仕事上の責任増加や退職

など、人生の転機が重なることが多く、心理的なストレスが積み重なりやすくなります。このストレスが更年期症状を悪化させる一因となります。

4. 個人差と体質

 更年期症状の現れ方は人によって大きく異なります。全く症状を感じない人もいれば、生活に支障をきたすほど重い症状に悩まされる人もいます。これは遺伝的体質、性格、生活習慣、社会的背景などが複雑に関係しているためです。

更年期症状への具体的な対策

1. 食生活の改善

 バランスのとれた食事は、ホルモンの影響を受けやすい身体を支える基本です。以下の栄養素を意識的に摂取しましょう。

・大豆イソフラボン:植物性エストロゲンとして知られ、エストロゲン不足の影響を緩和する働きがあります。納豆、豆腐、豆乳などに多く含まれます。

・カルシウムとビタミンD:骨密度の低下を防ぐために必要です。乳製品、小魚、キノコ類を活用しましょう。

・ビタミンB群・E・C:自律神経や血行に良い栄養素で、疲れやすさや気分の落ち込みを和らげます。

・オメガ3脂肪酸:心の健康を保つうえで注目されています。青魚や亜麻仁油などが良い源です。

 アルコールやカフェイン、糖分は交感神経を刺激して自律神経を乱しやすいため、摂取を控えめにすることが望ましいです。

2. 運動習慣を取り入れる

 適度な運動は、ホルモンバランスの安定やストレス発散に大きく貢献します。特に以下の運動がおすすめです。

・ウォーキングや水泳などの有酸素運動:心肺機能を高め、気分を明るくします。

・筋力トレーニング:基礎代謝を上げ、骨粗しょう症の予防にもつながります。

・ヨガやストレッチ:心身の緊張をほぐし、自律神経を整えるのに効果的です。

 無理のない範囲で週3〜5回、30分程度を目標に続けると良いでしょう。

3. ストレス管理と心のケア

 ストレスは更年期症状を増幅させる最大の要因の一つです。日々の生活の中で自分なりの「リセット方法」を見つけることが大切です。

・マインドフルネスや呼吸法:心を「今この瞬間」に集中させ、不安を和らげます。

・趣味や交流の時間を大切にする:人と話す、好きなことに没頭する時間が心の安定につながります。

・質の良い睡眠の確保:就寝前のスマホ断ち、暗めの照明、アロマの活用などで入眠環境を整えましょう。

4. 医療のサポートを活用する

 症状が重く、日常生活に支障をきたす場合は、無理せず専門医に相談しましょう。更年期外来や婦人科で以下のような治療が受けられます。

● ホルモン補充療法(HRT)

エストロゲンを補充して、ホットフラッシュや不眠などの症状を緩和する治療法です。効果は高いですが、乳がんや血栓症のリスクについて医師とよく相談する必要があります。

● 漢方薬

 体質や症状に合わせて選ばれる漢方は、副作用が比較的少なく、長期的な服用にも向いています。代表的な処方には、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」や「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」があります。

 ですが、漢方は体質によって合う合わない、またドラッグストアなどのポップに書いてある処方もすべてが正しいというわけではないので、ご自身で判断せず、なるべく漢方薬店や漢方薬局などといった専門的な機関に相談しましょう。

● 心療内科や精神科の併用

 強い不安感やうつ症状がある場合は、抗うつ薬や抗不安薬を併用することもあります。必要であればメンタル面の専門家のサポートも受けましょう。

 しかし頼る頻度を重ねるにつれ、効き目が弱くなることや副作用に長年悩まされることも少なくありません。

周囲の理解やサポートも大切に

 更年期症状は目に見えにくいため、周囲の無理解に苦しむ女性も少なくありません。しかし更年期は、誰にでも訪れる自然な身体の変化です。家族や職場の人たちと率直に話し合い、理解を得ることも大切です。

 女性の方はもちろんのこと、男性もパートナーや仕事仲間が悩まれていた際にはサポートしてあげてください。

まとめ

  更年期は、女性の人生において大きな節目となる時期です。ホルモンの急激な変化に伴って心身に様々な不調が起こることは避けられないかもしれませんが、その症状のメカニズムを理解し、適切な対策を講じることで、軽減することは十分に可能です。

 この時期を「衰え」として捉えるのではなく、「自分自身と向き合う機会」として受け止め、生活習慣を見直し、必要であれば専門家の手も借りながら、前向きに乗り越えていくことが何よりも大切なのです。

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