夢健究会
インフルエンザや新型コロナウイルスが蔓延している昨今、病気に負けずに健康な毎日を送るには、免疫力を高めることが重要です。免疫力とは、病原菌やウイルスなどの異物から体を守る機能のこと。免疫力が下がるということは、体を守る力が弱まるということなので、病気にかかりやすくなってしまいます。
また、汚染物質やほこり、老廃物などを処理するのも免疫の役割なので、免疫が下がるとアレルギー症状が出たり、肌荒れしやすくなったりもします。それでは、免疫力を高めて、病気に強い健康な体にするにはどうすればよいのでしょうか。今回は、今日からできる免疫力を高めるための4つのポイントをご紹介します。
そもそも「免疫力を高める」とは、どういうことなのかを考えてみましょう。私たちの体は免疫によって病原菌やウイルス、汚染物質といった有害なものから守られています。
免疫の種類は大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」の2つに分かれます。
自然免疫:生まれつき体に備わっていて、体内に異物が入り込んだときに真っ先に動き、異物を攻撃する
獲得免疫:以前体内に入り込んだ異物と同じものが入り込んだ場合に、過去の記憶をもとに異物と戦う
これらの免疫は、マクロファージやT細胞、B細胞といったさまざまな免疫細胞が、サイトカインと呼ばれるタンパク質を分泌し、情報を伝達し合うことで機能しています。つまり免疫力を高めるとは、これらの免疫細胞を活発化させてしっかり働くようにするということです。
免疫細胞は加齢やストレス、睡眠不足、偏った食生活などに弱いため、活発化させるにはこれらの原因を取り除き、免疫細胞がよろこぶ行動や食事を取る必要があります。
免疫は、日中の活動中に高まり、夜になると低下します。免疫力を高めるためには、決まった時刻に起きて食事を摂り、しっかりとからだを動かすこと。“活動”と“休養”という一定のリズムを保つことが大切なのです。また代謝や体温を上げることも免疫力を高めることにつながります。免疫細胞のなかには、異物が入り込んだときに抗体を作るよう指令を出すT細胞と、T細胞の指令を受けて抗体を作り出すB細胞というリンパ球が存在するのですが、リンパ球は体温が上がると増えて活発化する性質があるためです。
免疫細胞が正常に働ける体温は36.5℃程度で、そこから体温が1℃下がると免疫力が30%ほど下がり、1℃上がると免疫力が最大5~6倍ほど高まるといわれています。風邪などをひいたときに熱が出るのは、体が体温を上げることで免疫細胞を活発化させ、病原菌を退治しようとしているからなのです。
また、体温が上がると副交感神経という、心拍数や血圧を下げる働きがある神経が優位になって体がリラックスするため、ストレスの軽減にもつながります。1日10分程度でよいので、少し汗をかくくらいの運動をしたり、40度くらいのお風呂につかったりしてみましょう。
ただし、激しすぎる運動は逆に免疫力の低下をもたらす事も分かっていますので注意しましょう。
睡眠不足や精神的ストレスは免疫力を下げる大きな原因のひとつとなります。ある研究では風邪をひく割合は睡眠時間が7時間程度の場合は20%ほどですが、睡眠を5時間程度しかとってない場合は45%ほどに増える事が分かっています。また別の研究で学生の精神的ストレスと免疫の関係を調べたところ、学期始めの低ストレス時、試験がある高ストレス時、ストレスから解放された学期末で比べると、高ストレスの時期の免疫力が低いという結果でした。更に看護師を対象にした研究で、精神的なストレスが高まる仕事が多いときほど免疫力が低下していることを示したものもあります。
免疫細胞を活性化し、免疫物質の産生を促すためには、様々な物質が足りていなければなりません。バランスよく食べる事が大切です。
① 良質たんぱく質の多い食品
免疫細胞や免疫物質の主要な成分はたんぱく質。免疫細胞は寿命が短いため、たんぱく質が足りないと免疫力が落ちるもとになります。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品をしっかり摂りましょう。
② 抗酸化作用(ビタミンA・C・E)があるもの
活性酸素は老化や喫煙や紫外線、様々な物質への暴露などによって体内に増え、免疫能の低下をもたらすと言われます。体内の抗酸化作用は30代以降低下していきます。ビタミン類を積極的に摂ることは抗酸化作用を高め、免疫力アップの助けになります。
ビタミンA:レバー、うなぎ、緑黄色野菜など。皮膚や粘膜を丈夫にする作用がある
ビタミンC:緑黄色野菜、果物、芋類。白血球のはたらきを強化します。ストレスにより多く消費されてしまうため注意
ビタミンE:魚介類、ナッツ類など。過酸化脂質の生成を抑え、細胞の老化を防止する
③ 腸内環境を整える発酵食品や食物繊維
発酵食品(ヨーグルト、チーズ、納豆、みそ、漬物など)や食物繊維(海藻類、キノコ類など)をうまく取り入れましょう。
実は、免疫細胞の60~70%が腸管に集まっています。腸は、食べ物と一緒に入ってくる病原菌やウイルスなどに体内で最も接していて最前線で戦ってくれています。だからこそ大量の免疫細胞が、栄養や水分を吸収する腸の壁のすぐ内側に密集して、外敵の侵入に備えているのです。外敵をブロックするだけではありません。腸の壁の中にはなんと、外敵をわざわざ引き込んで迎え入れる部分があります。免疫細胞に触れさせて攻撃すべき敵の特徴を学習させ、抗体を作り、次の侵入に備えます。そして、学習を助けるのが腸内細菌であると考えられています。このように、腸管は“獲得免疫”の主要な舞台となっています。
腸内環境を整えることは、そのまま免疫力アップに繋がるといっても過言ではありません。そのためには、腸を冷やさないこと、自律神経系を整えること、特定の栄養に偏らないこと、そして規則正しい食事を心がけることです。
次の5つに気を付けて免疫力低下に繋がらない様に注意しましょう。
1.つい二度寝や朝寝坊してしまう ⇒ 副交感神経から交感神経への切り替えがスムーズにいかなくなり、免疫のはたらきも整わなくなります。
2.日中もあまり動かずゴロゴロ過ごす ⇒ 不活動によって免疫活動も“不活性化”する恐れあり。
3.食べたり食べなかったり、不規則な食事や偏食を続ける ⇒ 腸内環境が乱れ、健全な免疫力を維持できなくなることも。
4.夜更かししてパソコン、スマホ、ゲームに没頭する ⇒ 交感神経優位のまま副交感神経が抑制され、夜に免疫が低下した状態からの免疫力回復が遅れます。
5.日々のアルコールが増加 ⇒ アルコールは高カロリーなので、すぐに体温が上昇しますが、数時間後には冷えていきます。酔いが回ると気づかないうちにからだの冷えが進み、免疫の低下に繋がることもあります。
SEARCH
CATEGORY
GROUP
よく読まれている記事
KEYWORD