夢健究会
人に相談しづらく多くの人が悩みを抱えている「便秘」。年齢を重ねるごとに便秘で悩む人の割合が高くなっています。また、便秘はどちらかと言えば女性に多いですが、ストレス、運動不足などの影響により便秘に悩む男性も多くいます。便が排泄されないと、腸内で便に含まれる水分が再吸収されることで便が固くなり、腸内の悪玉菌が増殖され、腸内環境が悪くなり、さまざまな症状が起こります。そこで今回は、便秘の種類、原因、便秘の解消方法と慢性的な下痢の原因や解消方法についても触れながらお伝えしていきます。
便秘とは一般的に排便されない状態のことをさしますが、人によって捉え方はさまざまです。日本内科学会による便秘の定義は「3日以上の排便がない状態または毎日排便があっても残便感がある状態」としています。
便秘には、機能性便秘と器質性便秘があります。
1.機能性便秘には3つのタイプがあります。
①弛緩性(しかんせい)便秘
食べ物は消化管で消化、吸収された後、大腸に運ばれ、大腸のぜん動運動がはじまります。運動不足、加齢、食事量の低下、食物繊維の摂取量が足りないことで大腸の筋肉が緩み、便を押し出すぜん動運動が低下して大腸に便が溜まります。次第に便から水分がなくなっていき、便が固くなり排泄されにくくなります。便秘の原因では最も多く、特に高齢の方、やせ型の女性、寝たきりの方に多くみられます。
②痙攣性(けいれんせい)便秘
疲れやストレスによる自律神経の乱れが原因です。人間の身体は、興奮や集中した状態が優位になる交感神経とリラックス状態が優位になる副交感神経でバランスをとっていますが、このバランスが崩れると便秘や下痢を引き起こしやすくなります。コロコロした便が多く、特に若年層の方に多くみられます。
③直腸性便秘
肛門や直腸まで便が到達しているのに排泄できない状態です。通常は便が肛門まで到達すると脳に刺激が伝達され、排便を促します。しかし、直腸性便秘は、便意があっても排便を我慢してしまうことで、直腸の排便反射が低下してしまいます。つまり、我慢を繰り返すことで脳からの伝達が送られなくなり、排便の機会を失ってしまいます。特に仕事中、授業中などすぐにトイレにいけない、大勢の前でトイレに行くことが恥ずかしく我慢してしまう方に多いようです。
2.器質性便秘
大腸の炎症などにより、消化器に通過障害があると起こります。医療機関での処置が必要となります。
・お腹の張りや下腹部の不快感
→便が溜まることで身体に不快感を与えます。最も多い便秘症状です。
・おならの回数が多い、臭い
→腸内環境の悪化により、硫化水素、アンモニアが多く発生します。
・脱肛(だっこう)
→便が硬くなり、排便時にいきむことにより、肛門を傷づけて出血する 場合があります。痔(ぢ)の原因にもなるので注意しましょう。
・食欲の低下
→腸内に便が詰まることで食べ物がおいしく感じられなかったり、食事量を増やすことができません。無理に食べようとすると吐き気を引き起こします。
・メンタルへの影響
→腸内環境を悪化させる偏食や脂っこい食べ物の摂りすぎは、うつなどの精神疾患を招きます。腸の状態は精神面にも表れてきます。
1.規則正しい生活を心がける
毎日決まった時間に起床して生活リズムを整えましょう。ダイエットは便秘を招く要因になるので無理はしないようにしましょう。
2.朝食を摂る
空っぽの胃の中に食べ物が入ってくると、大腸のぜん動運動が刺激されて便意が起こり、便通を促します。これを胃結腸反射といいます。胃結腸反射が起きると眠っていた腸は夜のうちに溜まっていた便を直腸へ送り出そうとします。
3.排便を我慢しない
特に朝は便意が起きやすいです。前述でも触れましたが、排便を我慢すると便秘になりやすくなります。便意があるのに排便しにくい時は、上半身を少し倒した前傾姿勢で排便すると直腸が真っすぐな状態となり、排便しやすくなります。
4.食物繊維を摂取する
海藻類や果物、イモ類、こんにゃくなどに多く含まれる水溶性食物繊維や豆類、穀類、野菜(ごぼう、昆布、きのこ類)などに多く含まれる不溶性食物繊維を摂ると良いでしょう。水溶性食物繊維は便を柔らかくししたり、食べ過ぎ防止や食後の急激な血糖値の上昇を抑える働きがあります。不溶性食物繊維は便の量を増やす働きがあり、腸のぜん動運動を活発にします。できれば水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく、1日20gを目安に摂取すると良いでしょう。
また、サバを食べることもおすすめです。サバには多価不飽和脂肪酸のDHA、EPAが豊富でコレステロールを下げる、中性脂肪を減らす、血液の循環を良くして血栓予防や免疫力を高める作用があります。
5.発酵食品を摂取する
発酵食品に含まれる乳酸菌には、悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やす働きがあります。植物性の乳酸菌を多く含む味噌、動物性の乳酸菌を多く含むチーズやヨーグルトなどを摂りましょう。また善玉菌のエサとなるオリゴ糖(玉ねぎ、にんにく、はちみつ)などを同時に摂るとより効果的です。
6.1日に1~1.5リットルの水分を補給する
便通を良くするには、1日に1~1.5リットルの水分補給が必要です。コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶などカフェインを多く含む飲料は、水分量に含まれません。水、牛乳、スポーツドリンクなどをこまめに摂りましょう。
7.適度な運動を行う
運動量の低下は、大腸のぜん動運動の低下も招いてしまいます。ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動や自宅でも気軽にできる腹筋も良いでしょう。腹筋が弱いと便が押し出されにくくなります。運動が難しい方は、お腹のマッサージをするだけでも腸の動きを活発にすることができます。適度な運動で全身に刺激を与え、大腸のぜん動運動を促すことが大切です。
一時的な下痢はすぐに治りますが、慢性的な下痢は精神的なストレス、腸内善玉菌であるビフィズス菌の減少、不規則な生活などが原因です。
「過敏性腸症候群」といい、胃腸の働きをコントロールしている自律神経の働きが崩れて便秘や下痢を引き起こしますが、多くの場合、ストレスが関係しています。
解消方法の例をあげます。
1.アルコールや冷たい食べ物、脂っこい食事を抑制する
お酒は便通を促す作用がありますが、飲み過ぎは下痢を悪化させる原因となります。また、冷たい食べ物、脂っこい食べ物の摂り過ぎも消化管への負担が大きくなり、消化不良を招く原因となります。
2.ストレス発散させる
ゆっくりお風呂に入って気持ちをリラックスさせたり、良質な睡眠を取り、心身の疲れを癒やすこと、休日に趣味や運動をするなど自分なりの楽しいことを見つけることが大切です。
便秘や下痢の原因はさまざまですが、今、悩んでいる方々にとって何か心当たりがあるのではないでしょうか。腸内環境を整えることが免疫力を高め、身体全体の健康にもつながります。規則正しい生活習慣、適度な運動、質の高い睡眠など少し生活環境を変えることが便秘予防や改善になります。
SEARCH
CATEGORY
GROUP
よく読まれている記事
KEYWORD