今からでも治してもらいたい「いびき」と「無呼吸症候群」

今からでも治してもらいたい「いびき」と「無呼吸症候群」

 睡眠中、寝ようと思っても寝られないとき、色々な騒音が邪魔して余計寝られない。なんてことはありませんか。特に、横にいるご家族やパートナーのいびきなんかは気になってしまいますよね。
 そのいびき、ただの鼻詰まりではなく、無呼吸症候群によって起こっているかもしれません。ただのいびきだから…と放っておいていると近い将来にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

いびきが起こる原因

 いびきは、睡眠中にのどが狭くなることで生じる呼吸の振動音です。睡眠中は舌やのどの周りの筋肉が緩むため気道が狭くなります。その狭い気道を空気が通るたびに周囲の粘膜が震え振動音が発生します。

 いびきが起きやすい原因としては、

・肥満体型(舌やのどの内側の脂肪により狭くなる)

・慢性アレルギー性鼻炎(鼻詰まりにより空気が上手く取り込めない)

・夜お酒を飲む方(アルコールにより筋肉が緩んでしまう)

・疲労(通常時より筋肉が緩んでしまう)

・仰向け睡眠(気道が重力により狭くなる)

などが考えられます。

いびきを放っておくとどうなるか

 疲労や飲酒時、風邪による鼻詰まりなど一時的な場合は特に心配なことではありませんが、慢性的にいびきが起きていると後に重大な病気へと繋がっていく恐れがあります。

 まずここで、タイトルで触れている「無呼吸症候群」が挙げられます。

 睡眠中に10秒以上呼吸が止まる状態を「無呼吸」と呼び、それが一時間あたり5回以上、または一晩に30回以上起こると「無呼吸症候群」と呼ばれます。日本ではおよそ300万人から900万人ほど無呼吸症候群患者がいると推計されていますが、本人には自覚症状がないため、検査を受け治療している方はわずか50万人程度だそうです。

 無呼吸症候群は脳や全身が酸素不足を起こし、やがて深刻な病気へと繋がっていきます。

 また、満足な睡眠を得られず、日中の眠気を誘発し、仕事や学習、スポーツ等のパフォーマンスにも影響を与え、大きな事故を招く危険もあります。

無呼吸症候群から派生される病気

 無呼吸症候群による酸素不足状態が続くことで心臓や血管に多大な負担を与え、以下の病気のリスクを高めます。

1.心筋梗塞・心不全

睡眠中に呼吸が止まることで血圧が低下するため、身体は血圧を上げようとします。血圧低下と上昇を毎日繰り返していると、心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞や心不全などの心血管疾患が引き起こされることがあります。

2.脳卒中(脳出血・くも膜下出血・脳梗塞)

全身の酸素不足が慢性化することで、血管に負担がかかり、次第に硬くなっていきます。その結果、血管の詰まりや破れへと繋がり、脳出血やくも膜下出血、脳梗塞などの脳卒中が起こる可能性があります。

3.生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)

酸素不足による血管への負担と、睡眠不足による見えないストレスで血糖値やコレステロール値が上昇し、生活習慣病を招く恐れがあります。既に高血圧や糖尿病を発症している方は、悪化する可能性も。

4.認知症

無呼吸症候群による睡眠障害はアルツハイマー型認知症を招く原因の因子であるアミロイドβの蓄積を招くことが明らかにされています。アミロイドβの蓄積によってタウ蛋白が糸くずのように集まり、脳の神経細胞の変形や脱落、そして脳の萎縮へと繋がっていくため、認知症になってしまいます。

 無呼吸症候群の方はこれらの病気のリスクが約3~4倍も高くなるといわれています。また、日中の眠気による交通時事故の危険性も5倍から7倍に膨れ上がるともいわれています。

いびき・無呼吸症候群の対策

 無呼吸症候群と診断されると、専用呼吸器やマウスピース等で緩和させるといった治療法がありますが、自分一人で実践できる対策法もあるのでご紹介します。

1.口呼吸の改善

口呼吸は、鼻呼吸と比べてのどが狭くなり閉鎖しやすい状態になります。また、睡眠時でなくとも口呼吸によって細菌が身体に入る恐れもありますので、普段から鼻で呼吸することを心掛けましょう。

2.体重の見直し

肥満気味の方は、のどの周りについた脂肪により気道が圧迫され、酸素を取り込みにくくなることで無呼吸症候群を誘発させます。すぐに痩せるのは難しいかもしれませんが、普段からの食生活を改め、運動する習慣を身に付けていきましょう。

3.睡眠時の姿勢改善

仰向け睡眠は気道を圧迫させるので、抱き枕を使った横向き睡眠や枕の高さを下げるといった方法で就寝しましょう。

4.晩酌や喫煙を控える

アルコールには筋肉を緩める働きがあるので、晩酌は控えましょう。肝臓の保護にもなります。また、喫煙によって血流の酸素濃度が低下するので、本数を控える、または禁煙していく努力をしましょう。

5.睡眠薬や精神安定剤を控える

睡眠薬や精神安定剤にはアルコール同様、気道の閉鎖を引き起こしやすくさせます。また、これらの薬による睡眠は、睡眠時間はともかく質の良い睡眠を取れるとはとても言えません。朝起床し、太陽を浴びることで副交感神経を優位にし、夜の眠気をいざないます。少しずつ薬を控え、眠れる身体にしていきましょう。

まとめ

 ご家族やパートナーの何気ないいびき。さまざまなリスクを招くことが認識していただけたでしょうか。

 本人が気づかないうちに病気は一歩一歩忍び寄ってきます。スマートフォン等で録音した音声を聞かせ、こちらのページを見ていていただき、リスクのない安心できる睡眠ライフをお過ごしください。

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