夢健究会
皆さん、「薬用人参」とは?と聞かれた時に何を思い浮かべるでしょう。
大半の方は、朝鮮人参や高麗人参とお答えするでしょう。もちろん間違えではございませんが、世界には古くから伝えられた素晴らしい生薬が他にもたくさん存在します。
そんな薬用人参の主な種類を今回お伝えいたします。
◆ 三七人参 Panax notoginseng root
「薬用人参の王様」と呼ばれる三七人参には、いくつもの呼び名が有ります。田七人参や三漆、また非常に貴重なものであることから金不換とも呼ばれています。
ウコギ科の多年性植物で、中国雲南省から広西省にかけての限られた地域が原産地なります。また、年間を通して暑すぎず寒すぎない気候で、標高1,500メートル以上という条件で栽培されています。近年、この標高も地球温暖化とともに年々高い所に移動しつつあります。
「温」の性質を持つ三七人参は、約400年前の中国薬学書物「本草綱目」に、「血を止め、お血を留めず、痛みを鎮め、腫れを消す」と記されており、止血や血流改善、肝臓疾患の予防と改善など様々な場面で活躍しています。
◆ 朝鮮人参 Panax ginseng
皆さんご存じの朝鮮人参は、高麗人参やオタネニンジンなどとも呼ばれ、ウコギ科の多年生植物です。
原産地はアジアの極東地方にだけ自生する植物で、涼しく乾いた気候で比較的降雪量が少ない環境を好みます。現在、日本の福島県、長野県、島根県でも栽培されています。
体を温める「温」の性質をもつ朝鮮人参は、古来より強壮薬として親しまれてきましたが他にも、強心や鎮痛薬、健胃補精または、食欲不振、衰弱改善などにも用いられています。また、薬酒や人参茶、薬膳料理など食用としても使用されています。
◆ 西洋人参 American ginseng
朝鮮人参と同じウコギ科の植物の根で、アメリカ東部やカナダなど北アメリカが原産地であることから西洋人参と呼ばれています。現在では、中国各地でも栽培され広東人参などとも呼ばれています。
「のぼせない人参」と言われる西洋人参の性質は「涼」で、ほてり感がなく穏やかに体を潤してくれるのが特徴です。したがって、幅広い方が安心して利用する事ができ、特に中高年の方が長期的に飲むと体力の改善や精力の増強、病気の予防などに役立つと言われています。また余分な熱を冷まして体に潤いを与える作用があるため、慢性疲労をはじめ、夏バテや口の渇き、糖尿病や慢性胃炎、抗がん剤の副作用などに利用されています。
◆ 竹節人参 Panax Rhizome
「トチバニンジン」とも呼ばれ、日本各地(北海道、福井県、長野県、香川県、鹿児島県など)に広く分布している多年草です。中国では竹節人参は歴代の本草書には記載がなく、民間的に利用されてきた生薬です。和名の由来は樹木のトチノキの葉に似ていることによる。
西洋人参と同様に「涼」の性質を持ち、解熱,健胃作用がありカゼの症状や胃炎,消化不良,みぞおちの痞えなどに用いられます。
このように、薬用人参と言っても様々な種類があり、それぞれに活躍の場があります。
用途をしっかり見極めると、より皆さんのお役に立つと思いますので、是非ご参考にして下さい。
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