寝相と身体の関係

寝相と身体の関係

「夜中にパートナーを蹴ってしまい起こしてしまった」「朝起きたらベッドの下で目覚めていた」こんな経験、頻繁に起こってないですか。寝相が悪いことで嫌な思いをさせた、もしくはした、という方は多いのではないでしょうか。今回は「寝相」に注目していきます。

寝相は何故悪くなるのか

 寝相が悪い原因として物理的要因はもちろん、心理的要因もあります。対策の前に、まずその原因を深堀していきましょう。

・そもそも睡眠が浅い

 寝相が悪い方は、寝ているとき知らぬ間に身体を頻繁に動かしています。その原因としては、眠りが浅いことといわれています。

 さらにその睡眠が浅くなる原因としては、

➀ベッドや布団、枕など寝具が自分に合っていない…使っている寝具が身体に負荷をかけている、固く薄い寝具が眠りやすい体勢を取りづらい

②寝室の環境が良くない…部屋が明るい、道路や線路が近く騒音に悩まされやすい、室温が適切でない

③ストレス、不安がある…常にストレスを抱えていると自律神経が乱れる、呼吸を浅くする

 これらが挙げられます。

・病気が睡眠の質を妨げている

 上記以外で寝相が悪い場合は病気のサインの可能性もあります。

➀睡眠時無呼吸症候群…肥満気味でのどの気道が狭い、または朝起きたら鼻が詰まり口が乾いている方に多い

無呼吸症候群については過去の記事でも触れていますが、ただ単に夜中寝苦しいだけのものではなく、さまざまな病気に繋がりうる大変危険なサインです。

いびき、日中の眠気や倦怠感、起床時の頭痛、寝苦しさで何度も目が覚める方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があるので注意してください。

②レム睡眠行動障害…夜中に当然起き上がり、家中を徘徊する

レム睡眠行動障害は、パーキンソン病やレビー小体病などのサインともいわれています。夜中目が覚めて廊下で寝ていた、知らぬ間にトイレに座っていた、などといった覚えがある方はレム睡眠行動障害の危険があります。

寝相が悪いことで何が起こるか

 まず、「良い寝相」というものについて書かせて頂きます。

 ベッドや布団に寝たときに、あお向けであり、直立した状態が良い寝相と明らかにされています。

 その状態で、後頭部から首筋、肩口にかけてS字になっていることが重要ともいわれています。あお向けは身体への負担が少なく、余計な力が入らないのです。

 では、「悪い寝相」とは。

 まず、S字状態でないとどうなるか。後頭部が上がり・下がり過ぎだと気道が圧迫されます。その上、首や肩に負担がかかり呼吸を取り込みにくくさせてしまいます。

ではここで、それぞれの寝相についての特徴をまとめてみましたので参考にしてください。

それぞれの寝相

・あお向け寝

 あお向け寝は基本的な寝相ともいわれています。

 身体にかかる圧力を分散することで、負担をかけにくくします。

 呼吸も深くなり、質の高い睡眠が得られやすくなります。

 寝返りも打ちやすいことから、身体の隅々まで血液を流すことができ、筋肉の凝りや負担が少ないといわれています。

 このように、あお向け寝は基本的な寝相ではありますが、舌が重力の関係で気道を塞ぎ、いびきの原因となることがあります。

 肥満気味の方や鼻づまりのある方は酸素がうまく取り込めず、睡眠時無呼吸症候群を誘発しやすいと報告されています。

 また、両手を挙げた状態で寝るバンザイ寝というものもありますが、あまりおすすめできません。

 睡眠時に無意識にバンザイ寝をしてしまう方は、肩や背中の筋肉が凝っている可能性があります。

 ストレッチのように、睡眠時に無意識に肩を伸ばし、肩回りの筋肉を緩めようとしているのです。

 一見、理にかなっているようにも思われそうですが、この状態が長いことで筋肉を凝り固め、血流を悪くしてしまいます。結果的に肩こりを招いてしまうのです。

 さらに、バンザイポーズは顎を引いた状態なので気道が狭くなり、いびきや睡眠時無呼吸症候群を招いてしまいます。

・うつぶせ寝

 顔を下にうずめる状態です。意識的にするうつぶせ寝に関しては、お腹を温めやすい、リラックスしやすいとメリットもありますが、首を曲げて顔尾を枕に寄りかからせるので、寝違えや身体の歪みに直結します。ほかにも、胸やお腹を圧迫してしまうので吐き気を誘発しやすい、むくみやすいなどといったデメリットも多数あります。

 また、無意識状態(寝返り)時にうつぶせ寝が起こるのは、気道を狭まっていることから、無意識に身体がうつぶせ状態になっているのです。睡眠時無呼吸症候群がある方は、起きたときにこの寝相になっているというのも少なくありませんので注意が必要です。

・横向き寝

 人間の内臓は左右非対称なので、右に向くか左に向くかでそれぞれ変わります。

 右向き寝は、胃の消化を助ける体勢です。便秘を解消したいのであれば、右向きで寝ると良いでしょう。また、心臓の位置も上にくるので、心臓の負担も軽減することが期待できます。

 一方左向き寝は、消化器系等の臓器の負担を軽減するので、消化を促進する体勢です。例えば、また、逆流性胃腸炎や胸やけになりやすい方は左向き寝がおすすめです。リンパ液の分泌効果も高められることも報告されていますので、老廃物や毒素の排出の助けにもなります。

 しかし片側を下に向けて圧をかけるので、下になった部分に負担がかかってしまいます。冷えや肩こりといった原因にもなりえます。

 朝起きたときに身体に痛みや倦怠感のある方は意識のある睡眠時の寝相を変えてみるのも手です。

寝相を治す対策

 上記にまとめた通り、寝相にはそれぞれメリットとデメリットがあります。理想的なのは良い健康状態時にS字を描いたあお向け寝なのですが、その理想の寝相への対策として。

・服装を見直す

夏は下着やTシャツ、冬場はジャージやパーカーといった部屋着を寝間着にしている方も多いのではないでしょうか。

しかし、厚手のものや身体に密着しているものを着たまま寝ると、寝苦しさや動きづらさを招いてしまいます。

就寝の時にはパジャマなどといった通気性の良いものを寝間着にし、寝るようにしましょう。

・自分に合った布団を選ぶ

硬さやサイズなど、自分の身体に心地よいものを選ぶようにしましょう。

敷布団に関しては大きければ大きいものが良いです。

パートナーや子供と一緒に寝る方は、自分のスペースをしっかり確保できるサイズが望ましいです。

マットレスの硬さ柔らかさに関しましては、正しい寝返りを打てるためにも硬めのものがおすすめです。

・自分に合った枕を選ぶ

高反発のものが望ましいです。高すぎる枕やふかふかの枕は、夜中に首が疲れたことで外してしまう可能性があります。

・生活環境を見直す

部屋の明るさや室温に関しましてはご自身で調整できると思いますが、道路や線路の騒音など環境音などが気になる場合はコストがかかりますが防音対策をしてみるのも手です。

・自分の健康状態を見直す

ストレスがあることで自律神経に影響を及ぼし、寝つきや寝相も変わってきます。それ以外にも自律神経は身体のさまざまな状態をつかさどるものなので、ストレス緩和につとめていきましょう。よもやま話にはストレスや健康に関する情報が豊富にありますので、そちらもご参照ください。

また、睡眠時無呼吸症候群は身体に多大なダメージを与えます。こちらについても別記事をご参照ください。

まとめ

寝相から身体のさまざまな状態が見えることがわかってきました。これらの対策を胸に、疲れない身体、良質な睡眠を目指すとともに、横で寝ているパートナーを起こさないようにしていきましょう(笑)。

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