- よもやま話
日本人の食事摂取基準によると、一般の人が必要とするタンパク質の量は体重1キロあたり0.8gです。体重が60キロの人は1日当たり48gが目安となります。
タンパク質は、私たちのカラダにとても重要なものです。タンパク質が不足するのも摂り過ぎるのも健康に良くありません。筋トレブームによりプロテインや高タンパク食品などで、タンパク質が摂りやすくなってきています。タンパク質の不足や摂り過ぎなどによって起こる症状などお伝えしていきます。
タンパク質とは、筋肉や臓器、皮膚、骨、毛髪、ホルモンや抗体など、あらゆる組織をつくる材料になる大切な5大栄養素の一つです。免疫や代謝、血圧の調整、神経機能の維持などにも重要な役割を果たしてくれています。
タンパク質はカラダを構成する主な成分で、20種類のアミノ酸が多数つながってできていて、カラダに含まれるタンパク質は、常に分解と合成を繰り返し、新しく生まれ変わっていきます。分解されたタンパク質の一部は体外に排出されるため、その分を食品から補う必要あります。
20種のアミノ酸のうち、11種非必須アミノ酸(アルギニン・グリシン・アラニン・セリン・チロニン・システィン・アスパラギン・グルタミン・プロリン・アスパラギン酸・グルタミン酸)は、人は体内で合成することがで切るのですが、残りの9種必須アミノ酸(バリン・イソロイシン・ロイシン・メチオニン・リジン・フェニルアラニン・トリプトファン・スレオニン・ヒスチジン)は体内でつくることができないため、9種の必須アミノ酸は食事から直接摂る必要があります。
タンパク質は体内で日々作り替えられています。使われなかったタンパク質は排出されるので、体内に貯蔵しておくことはほとんどできないのです。そのため、タンパク質は毎日摂り続けることが必要です。タンパク質が不足するとカラダの様々な機能が低下していきます。代表的な症状は以下のような症状です。
【タンパク質が不足することで起こる症状】
◎筋肉量が低下する
◎免疫機能が低下する
◎代謝が悪くなる
◎髪、肌、爪などのトラブルが起こりやすくなる
◎むくみやすくなる
◎疲れが出やすくなる
他にも、タンパク質不足が原因で起こるトラブルはありますので、食生活に偏りがあったり、コンビニや外食が多い方は特に注意が必要です。
筋肉量が少ない方は要注意です。
筋肉は水分を除くと80%がタンパク質からできています。筋肉量が少なくなると、食後の糖質を蓄える場所がなくなってしまい、血糖値が上がったままの状態を防ぐため、肝臓で糖質を脂肪に変換するように働いてくれます。その結果、筋肉量の少ない人はコレステロール値や中性脂肪も高くなり、長期的には心疾患、糖尿病のリスクを上げる可能性があるともいわれています。
筋肉は鍛えれば、成長してくれます。鍛えることで、基礎代謝等も上がりますので、少しでも筋トレを行うことで太りにくいカラダを作ることができますので、以前のよもやま話にも筋肉について掲載しております。参考にしてください。
タンパク質の過剰摂取により健康を損なうという十分な研究結果はないみたいなのですが、カラダに悪影響が出たとの報告はいくつかあります。
・肝臓や腎臓の負担がかかる
・カロリーの摂りすぎ
・尿トラブル
・腸内環境が悪くなる
・肝臓や腎臓の負担がかかる
肝臓や腎臓の内臓疲労。タンパク質のうち余ったものは分解されて窒素となり、窒素を体外に排泄するためには肝臓・腎臓が働く。タンパク質の摂取量が多いほど肝臓や腎臓にかかる負担が大きくなり、内臓疲労の原因の可能性があります。
・カロリーの摂りすぎ
タンパク質が豊富な食品の多くがカロリーの高いものが多いのです。タンパク質の量だけに注目して食事をしていると、カロリーオーバーになっているケースもあります。タンパク質量だけを意識するのではなく、同時にカロリーにも注意していく必要があります。低カロリー高たんぱくの食事を心掛けましょう。
・尿トラブル
タンパク質の摂取量が多いと、尿路結石のリスクを高める可能性があります。尿路結石は、腎臓、尿管、尿道、膀胱などの尿路に結石ができる疾患です。肉や魚、卵などの動物性タンパク質量が多いのが原因のひとつです。動物性タンパク質を摂取すると、体内でシュウ酸や尿酸といった物質が増加していきます。シュウ酸はカルシウムと結合しやすく、腸でカルシウムと結びついて便として排泄されますのですが、腸で吸収しきれなかったシュウ酸は、尿として排泄され、尿中のカルシウムと結びつき、結石が形成されてしまうのです。尿路結石は激しい痛みや血尿などの症状を引き起こすことがありますので注意が必要です。
・腸内環境が悪くなる
吸収されず腸に送られたタンパク質は、悪玉菌のエサとなり、腸内環境が乱すことがあります。排出した便が、黒っぽく嫌な臭いがある場合は、腸内環境が悪くなっているサインかもしれません。腸内環境を健康に保つためにも、タンパク質の摂取量を適切に調整することが大切です。
タンパク質が豊富な食材について、普段から食べやすいものをリストアップしていきます。
肉類
タンパク質を多く含む食材は、脂の少ない鶏肉、豚や牛の赤身です。脂質が多い部位のお肉の食べ過ぎは悪玉コレステロールを上昇させる原因にもなりますので、脂質の少ない部位にしましょう。(以下100gあたりのタンパク質含有量です。)
・ささみ 23.9g
・鶏胸肉 23.3g
・豚ヒレ 22.2g
・豚モモ 22.1g
・牛モモ 21.9g
・豚肩 20.9g
・鶏もも 19.0g
※鶏肉は皮なし。豚、牛肉は赤身部分となります。
卵類
卵は値段が近年安定しないものとなっていますが、調理が簡単なのでタンパク質の補給にはとても良い食材です。
・鶏卵黄 16.5g
・うずら卵 12.6g
・軽卵白 11.3g
魚介類
魚介類でも脂質の少ない魚がタンパク質を多く含みます。貝類はカロリーが低いのですが、水分が多いためタンパク質量は少なくなっています。
・イワシ丸干し 32.8g
・いくら 32.6g
・マグロ 26.4g
・カツオ 25.8g
・鮭 22.3g
・えび 19.6g
・スルメ 69.2g
乳製品類
牛乳などの乳製品には、カルシウム量も優れているため、強い骨を作り、骨粗鬆症や怪我の予防に繋がります。お子さん、高齢の方でも、比較的手軽に摂取することができるので、おすすめです。
・プロセスチーズ 22.7g
・パルメザンチーズ 44.0g
・クリームチーズ 8.2g
・ヨーグルト 3.6g
・牛乳 3.3g
※乳製品はメーカーによって多少の違いありますので、おおまかな目安としてください。
大豆類
大豆製品は他のものに比べてカロリーが低く、ダイエットされる方にはとても良いです。タンパク質量の多いきな粉などは1回の摂取量を少なくなります。
・きな粉 36.7g
・納豆 16.5g
・厚揚げ 10.7g
・木綿豆腐 7.0g
・無調製豆乳 3.6g
いかがでしたでしょうか?皆さんは1日に必要なタンパク質、摂れていますでしょうか?
私たちの食生活は、様々な栄養素を摂取していく必要性があります。タンパク質だけを気にして摂取すればいいわけではありません。5大栄養素の炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミン、そしてタンパク質。偏ることなく摂取していくことが大切です。
年齢と共に、外食が増えたり、お酒を嗜んだり、子供の時とは生活スタイルが激変していく方がほとんどではないでしょうか?食べるものも、外で運動する機会も変わります。食が増えて、運動が減る。私たちのカラダは動くために栄養素が必要なわけですから、今の生活にあった食事、運動習慣を取り入れていき、カラダに良いことをしてあげましょう。
無理のないことから始め、地道に継続していくことが私たちの心とカラダを作り上げてくれます。継続は力なりです。