- よもやま話
皆様、楽しい食生活を送っていますか?
人の三大欲求(食欲・睡眠欲・性欲)に数えられるほど、食事は人生にとって無くてはならない存在です。
そんな食事に関わる『食養生』について考えていきましょう。
『食養生』とは、ビルを建てる土台と考えてください。土台がしっかりしていないと、いくら丈夫に建てようと些細な事で崩れ落ちてしまいます。この豊富な食環境である現代社会において、身体に必要なモノ・必要でないモノを見極めるのは簡単な事ではありません。まずは知識をつけ、病気にならない身体づくりをして行きましょう。また、食生活(土台)がしっかりしていないと、いくら栄養素を摂取しても吸収できなく病気に陥ってしまいます。本来は、身体全体のバランスを考えながら、ひとりひとりそれぞれの体質的特徴や個人差を考慮し、対策をしていきます。
① 味が濃いもの
② 甘いもの
③ 生もの
④ あぶらっこいもの
⑤ 冷たいもの
⑥ 消化に悪いもの
⑦ 刺激物(辛すぎるものなど)
これらは、胃腸機能に負担をかけすぎるので、「避けるべき食材」と言えるでしょう。
湿度が高い日本は、湿を嫌う五臓の脾が弱い体質の日本人が多くいます。その為、胃腸機能に負担をかけるものをたくさん食べたり飲んだりすると脾の働きがますます落ちてしまう為です。
栄養を作り出す大切な器官を守る為に、「避けるべき食材」を理解し、食べる量を減らすようにしましょう。
腹八分目の目安
①胃がもたれない
②体が重くならない
③眠くならない
腹八分目で満足させるには、みそ汁などの水分を200ccほど先に摂り、胃を水分で満たし、その後ゆっくり時間をかけて、しっかり噛んで食事をするようにしてください。
食事と一緒に汁ものを摂るのは注意が必要です。食事をしながら汁物を摂ると、しっかり噛まず流し込んでしまいがちになり、本来歯が行う仕事を、筋肉と粘膜でできている胃腸が代わりに行うこととなり、胃腸を弱らせる要因になります。
汁ものはできれば食事の一番先に摂ることをおすすめします。そうすることで、胃腸が温まり食事を消化する準備が整います。また、胃が水分で先に満たされるため、不必要に食べ過ぎずにすみます。
中医学では、食物や生薬が持つ味を酸(酸っぱい)・苦(苦い)・甘(甘い)・辛(辛い) 塩(しょっぱい)の五つに分け、「五味」呼びます。これら五つの味は、単に味覚上の分類だけでなく、それぞれ臓器に作用し、臓器を養うと考えられます。
◆酸味
酸味のものは、ものをひきしめ、収斂(しゅうれん)する作用があり、肝に属します。そのため、肝虚証の人は、適当に酸味を取る必要があります。しかし、胃の陽気が少ない人は、酸味のものを過食してはいけません。気の働きが鈍くなり、余計に食欲がなくなることがあります。一般に酸味を過食すると、肝気の発散を妨げます。肝は筋をつかさどり、酸味を摂りすぎると筋肉などが固くなり、全身の動きが鈍くなります。
・お酢、レモン、梅、すもも、あんずなど
◆苦味
苦味のものは、固める作用と熱をとる作用があり、心に属します。心に対して良いという考えですが、過食すると陽気が少なくなり、身体が冷えやすくなります。胃の働きが悪い人が摂り過ぎると、胃腸を冷やすため、食欲不振となります。また、苦味の固める作用は下利便に効果的です。体内の余分な熱をとる効果があるので、口内炎や不眠などの予防にも用います。
・ぎんなん、お茶、ゴボウ、春菊、苦瓜、菊の花など
◆甘味
甘味のものは、調和、補う作用があり、脾に属します。筋肉痛を和らげたり、緊張を緩和させる作用があるので、疲労回復に効きます。しかし、疲労もないのに、甘味のものを過食すると、弛緩作用がある為、身体がだるくなります。最近、糖分の摂取過多が体内のアレルギー反応を起こし、情緒不安定などの症状を引き起こすことがアメリカの研究でわかりました。実際臨床では、肉類と砂糖の摂取量を減らす食事指導によってアレルギー性疾患の改善がみられるケースが少なくありません。
・砂糖、かぼちゃ、にんじん、とうもろこしなど
◆辛味
辛味のものは、陽気をめぐらし、身体を温める作用があり、肺に属します。例えば、お寿司などの生魚を食べる時にワサビやショウガを併せて食べるのは、生魚の臭みを取るだけでなく、生魚で胃が冷えるのを防ぐ為でもあります。したがって、胃の悪い人や、身体の冷えやすい人は適当に辛味のものを摂ると良いでしょう。ところが、辛味を過食すると、身体を温めて汗を出すので、かえって熱を取られ冷えることがありますので注意してください。
・わさび、しょうが、にら、にんにく、ねぎ、酒など
◆塩味
塩味のものは、ものを和らげ潤す作用があり、腎に属します。例えば、青菜に塩をかけると水が出てくるように、塩味は腎の水を取り、周囲を潤し、和らげる作用があります。しかし、塩味を摂り過ぎると、血が粘っこくなり、腎精の働きを低下させます。そうなると、髪が白っぽくなったり、むくみになりやすくなります。
・しょうゆ、塩、味噌、わかめ、昆布など
①和食中心の食生活にする
ご飯、野菜、海藻中心のおかずにし、たん白質は大豆、大豆製品と魚介類でとりましょう。
②三白を避ける
白米、白糖、白パンなど精製品は栄養価が低いため、胚芽米、玄米などを積極的に摂取しましょう。
③緑黄色野菜を摂る
かぼちゃ、人参、小松菜、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草、ケールなど、ビタミンと繊維質の豊富な野菜を摂取しましょう。
④油脂は適度に
サラダ油に含まれるリノール酸は酸化されやすく過度の摂取では動脈硬化を進行させアレルギーを助長します。しそ油、オリーブ油の使用と油料理の制限をしましょう。
⑤現地で採れたもの、その季節に合ったものを新鮮な状態で摂る
ハウス製品は露地物に比べビタミンやミネラルが少ないようです。夏収穫できる野菜を冬摂取すると体を冷やす原因になります。
⑥一物全体食
なるべく皮を剥かずに根も葉も食べ、魚は皮、骨、内臓も食べるため小魚のほうが良いです。一物全体食によって様々な栄養素を摂取できます。
⑦自然に近いもの摂り加工品を避ける
食品のラベルを良く読み、なるべく精製品、合成添加物の入っていないものを選びましょう。遺伝子組換え食品の摂取は控えましょう。
⑧アルコールを控える
適度の摂取は良いが過度になると肝臓を壊すだけでなく消化器系の癌に関係してきます。
⑨インスタント食品、冷凍食品、清涼飲料水は控える
炭酸水、糖類の摂取は胃に負担をかけ、合成保存料、添加物の含まれる食品は避け、なるべく自身で料理したものを食べましょう。
⑩良く噛むこと
1口50回以上噛むことを意識しましょう。
⑪楽しみながらバランスの良い食事をする
食を楽しむことにより精神的にもリラックスし消化吸収を促します。
偏った食事を避けましょう。
このように、普段健康に気を遣い栄養価の高い食事をしているつもりでも、時期や量、食べ方によっては逆に、身体に悪い影響を及ぼす可能性があります。
しっかりとした知識を持ち、少しの気遣いと楽しく食事をすることによって、病気に負けない身体の土台作りをしましょう。
今後の食生活に是非『食養生』を取り入れましょう!