夢研究会

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膝が痛い~変形性膝関節症~

20代、30代くらいまでは膝の痛みで悩むことはあまりないかもしれませんね。

しかし、たとえ今は痛みを感じていなくても、他人事ではありません。

膝には毎日大きな負担がかかっていて、それが年々積み重なることで、ある時痛みとしてあらわれる可能性があるのです。

膝の痛みに悩んでいる人も、今はまだ痛みを感じていない人も、症状の改善や予防のため知っておきたい膝痛のメカニズムをご紹介します。

セルフチェック

 膝は毎日、私たちの体重を支え続けているため痛みが起こりやすい部位です。

 膝の痛みの原因は、靭帯や半月板の怪我など様々ですが最も多いのは「変形性膝関節症」です。

 特に下記の項目に当てはまる人は、注意が必要です。

 まずは自分の膝の健康状態をセルフチェックしてみましょう。

□     BMI(体格指数)が25以上である

        ※BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)。25以上が肥満と判定される。

□     日常的に運動をあまりしていない

□     O脚である

□     外反母趾(がいはんぼし)、または扁平足(へんぺいそく)である

□     姿勢が悪い

□     激しい運動をしていた・している

□     膝に怪我をしたことがある

 当てはまる数が多いほど、膝への負担が多く変形性膝関節症になりやすいです。

 肥満や、運動不足による筋力低下は膝への負担が増え変形性膝関節症の原因に。

 体重が1kg増えただけで膝への負担は、歩行時には2~3kg、階段昇降時には4~5kg増えると言われています。

 まずは、体重を増やさない生活習慣を心がけましょう。

 また、O脚や悪い姿勢は体のバランスを崩し、膝への負担を増やしてしまいます。外反母趾や扁平足も、歩いたり走ったりした時に足の裏で衝撃を吸収できなくなり大きな負担になります。

膝の痛みで最も多い変形性膝関節症とは

 変形性膝関節症で悩まされている方は男性より女性の方が多く、40代から増え始め年齢と共に増えていきます。

 膝関節とは太ももの骨(大腿骨)、すねの骨(脛骨)、膝のお皿(膝蓋骨)が接する部分のこと。

 それぞれの骨が接する面は関節軟骨でおおわれており、関節軟骨は半月板と共に骨同士が直接ぶつかり合わないようにクッション材のような役割を果たしています。こうした働きによって膝はスムーズに動かすことが出来ているのです。

 しかし、残念ながら膝関節軟骨の主成分であるヒアルロン酸は年齢と共に減少してしまいます。すると、軟骨の弾力が失われてすり減り、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)がぶつかり合うようになってしまうのです。このようにして痛みが起こるのが変形性膝関節症なのです。

原因

 変形性膝関節症の原因は、一次性と二次性の大きく2つに分類されます。

・一次性

明らかな原因がないが、関節軟骨が摩耗、変形して起こるものを「一次性」といいます。

原因として、加齢変化、体重増加、肉体疲労、スポーツなどによる過負荷が考えられています。

・二次性

怪我や病気など原因が明確なものを「二次性」といいます。

・膝周辺の骨折、捻挫や関節軟骨の損傷

・ACLなどの靭帯、半月板損傷

・反復性膝蓋脱臼、大腿骨内顆骨死症などを過去に診断されている方

予防策

 日常生活の中での膝関節の負担を減らす生活を心がけましょう。

 膝関節への負担を減らすために下記のような注意が必要になります。

①   筋力を強化し、関節を動かす

 筋力は太ももの前の筋肉を鍛えることが、痛みを軽減する予防に有効といわれています。

 またデスクワークの方は、膝を曲げている時間が長いため、太ももの裏の筋肉が硬くなりやすいです。座ったまま足を上げてキープするなども効果的です。

 変形性膝関節症を予防し進行を遅らせるためにも、膝関節を中心とした筋力強化や筋の柔軟性はとても重要になります。

 膝関節の変形が進んでいくと、膝関節としての機能が低下し痛みや可動域制限そして筋力低下がおこります。

 痛みが出てしまうと踏ん張れなくなったり、動かさなくなることでさらに関節の動く範囲が狭くなったり、筋力低下が進んでいきます。

 そうなると負のスパイラルが止まらなくなり、ますます膝関節の負担が大きくなり変形が進行してしまいます。それを防ぐために、筋力強化や関節を動かすことが必要です。

 膝の筋肉やお尻の筋肉を鍛えることが、膝関節の負担を減らすために特に重要になります。

②   適正体重にする

 膝関節は、股関節と膝関節のつなぎ目であり体重の重みがかかる関節です。

 特に歩く時には片足で支えなければならないため、さらに負荷が高くなります。

 つまり、体重が重ければ重いほど膝関節にかかる負荷が高くなります。

 日常生活を送っていく中で体重が重いまま歩き続けると、変形性膝関節症が進行して痛みや関節の制限が増強していきます。

 体重を減らすことは、膝関節への負担を減らすことになります。なので、適正な体重管理を心がけて生活していきましょう。

 すでに適切な体重をオーバーしている方は、ランニングや階段などよりも平地でのウォーキングや、プールでのウォーキングをおすすめします。

 また、肥満で体重が減らないという方は低脂肪・高たんぱくの食事を摂取することを推進します。

 エネルギーやたんぱく質を制限してしまうと、身体は筋肉を分解して不足したエネルギーを作り出そうとします。そのため過剰な食事制限は筋肉量を低下させる原因にもなりかねません。

 筋肉量が低下すると、代謝が低下し脂肪が落ちにくい体になってしまいます。

 そこで、糖質(炭水化物や甘いもの)をやや少なくし、野菜やたんぱく質(大豆製品やお肉・魚など)は積極的に摂取する食事を心がけましょう。

③   日常生活の習慣を見直してみる

 日常生活を見直すことで膝関節の負担を減らすことも必要です。

 以下のような習慣は、膝関節に負担のかかる習慣になります。

・長距離を徒歩で移動する

・階段の上り下りが多い

・長時間の立ち仕事

・和式のトイレや正座など過剰に膝を曲げるなど

 上記のような習慣は、日常的に膝関節へのストレスを増やし、変形性膝関節症を進行させています。

 そういった膝関節にストレスがかかっている要因を変えていくことで進行を防ぐことができます。

 また、自宅や職場環境など変えることが難しい習慣もあります。

 それについては体の状況を説明して、職場や家族で相談して協力してもらうことも必要になります。

④   靴選び

 これは仕事でヒールが必要な方や、若い女性の場合に気を付けていただきたい予防策となります。

 ヒールは、身長を高く見せ足がキレイに見えるアイテムでもありますが、膝に負担がかかる場合があります。

 ヒールの高さが5~6㎝以上になると、前足部に負担がかかるといわれています。

 高いヒールを履くと足のアーチが低下し、外反母趾や偏平足につながり膝関節への負担を増大させます。

 ヒールの高さは3㎝までであれば、歩行速度および歩幅やストライド長には影響が少ないとされています。よってヒールを履きたい方は少し高さを抑えましょう。

まとめ

 まだ痛みのない方も将来の自分の膝を守るためには早めの行動が大切です。

 変形性膝関節症は進行性で一度なると完治は困難です。

 一方で、予防することはできます。

 正しい歩き方や筋力維持、生活習慣を見直して今からできることを始めていきましょう。