夢研究会

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ヒートショック

ヒートショックとは

気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることをヒートショックといいます。この血圧の乱高下に伴って、脳内出血や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの病気が起こります。2006年のデータですが、交通事故による死亡者が約7,000人であったのに対し、ヒートショックでは倍の14,000人が亡くなっています。

ヒートショックは冬場に暖房の効いたリビングから脱衣所に移動し、浴槽に入るときなどに起こります。リビングから脱衣所に移動した際には、寒さに対応するために血圧が上昇します。そこで衣服を脱ぎ、浴室へ入るとさらに血圧は上昇します。その後、浴槽に入ると、急に身体が温まるため、血圧が下降します。特に10℃以上の温度差がある場所は危険とされており、注意が必要です。

11月~2月までの時期がヒートショックの好発時期です。浴室や脱衣所などの気温が下がり、長風呂になりやすいため、危険が高まります。昔ながらの日本家屋や温泉施設などでは床がタイルだったり、暖房設備がない場所も多いので温度差が生じやすくなります。また、トイレでヒートショックを起こす人もいるので、お風呂以外でも温度変化のある場所には要注意です。

影響を受けやすい人

ヒートショックは65歳以上の高齢者、高血圧や糖尿病などの動脈硬化の基盤がある人、肥満や睡眠時無呼吸症候群、不整脈の人が影響を受けやすいです。下記のチェックリストに該当する場合は、ヒートショックの対策をして入浴するようにしましょう。また、ご家族の中に該当する高齢者がいる場合は、浴室で倒れている危険もありますので、入浴中はときどき様子を見に行ってあげてください。

・65歳以上である
・高血圧、糖尿病、動脈硬化がある
・肥満、睡眠時無呼吸症候群、不整脈がある
・浴室に暖房設備がない
・一番風呂が好き
・熱い風呂が好き
・飲酒後にお風呂に入ることがある
・30分以上お湯に浸かっている

予防のポイント

ヒートショックを予防するポイントは、血圧が乱高下しないようにすることです。そのためには温度差をなるべくなくしたり、身体に負担の少ない入浴方法を心がけましょう。

 

ポイント1

脱衣所と浴室を温める

暖かいリビングから脱衣所に移動した際の温度変化を軽減するために、暖房器具を置くなどの工夫をしましょう。浴槽にお湯がたまっている場合にはふたを外しておくと浴室の温度を上げることができます。また、一番風呂は浴室が十分に温まっていないので、なるべく避けるようにしましょう。浴室を温める方法としてシャワー給湯があります。シャワーを使って給湯することで浴室の温度が15分間で10℃上昇します。また、浴室の床にマットやスノコなどを置いておくことも有効です。

 

ポイント2

お風呂の温度は低めに設定

お風呂の温度が42℃以上になると、心臓に負担をかけることが知られています。41℃以上になると浴室での事故が増えると報告されているので、38~40℃に設定して入浴することが勧められています。また、入浴する際は手や足などの心臓から遠い場所にかけ湯をして身体をお湯に慣れさせましょう。首までお湯に浸かることも心臓に負担をかけるので、浸かるとしても胸のラインくらいまでにしてください。

 

ポイント3

ゆっくりとお風呂から出る

お湯に浸かっているときは、身体が温められ、血管が弛緩して血圧が低下しています。その状態で急に立ち上がると、脳まで血を運ぶことができず、めまいを起こしたり、失神することがあります。お風呂から出る時はゆっくり立ち上がることを心がけましょう。降圧剤内服中の人は特に注意が必要です。また、飲酒後は血圧が下がることが知られていますので、飲酒後の入浴は避けましょう。入浴前には水分を摂取しておきましょう。

日本の家は寒い

冬の在宅中、居間の平均室温は北海道が19.8度だった一方、東京都は17.1度。温暖な香川県では13.1度でした。
関東北部は低く、栃木県では15.1度でした。神奈川県では18度と関東の中では比較的高い結果となりました。

特に古い住宅では断熱性が不十分なことがあり、すきま風で居間や寝室の室温や湿度が下がるということです。

そうした住宅では、血圧が上がってヒートショックになりやすくなるだけでなく、睡眠の質が下がったり、感染症にかかりやすかったりとデメリットも多くなります。

一般家庭では「室温18度以上、湿度40%以上」が必要だとして、脱衣所やトイレに電気式パネルヒーターをおく、窓に断熱材を貼る、カーテンを床までつく長さにするといった対策を行いましょう。

高齢者がいる場合は、20度以上が望ましいとして新築や改修をする際に、住宅の断熱性能を高めることも有効だと思います。

まとめ

”自分は大丈夫“は禁物です。特にヒートショックに注意が必要なのは高齢者です。血圧を正常に保つための機能が低下するためでふだん健康な人もリスクがあるということです。
入浴前に家族などに声かけしておくと気づきやすいということです。

また、注意が必要なのは高齢者だけではありません。血圧が高めの人や普段から立ちくらみやめまいを起こしやすい人も特に注意が必要です。