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突発性難聴について

突発性難聴とは

 そもそも突発性難聴とは。ある日突然前触れもなく左右もしくは両方の耳の聞こえが悪くなることをいいます。また、激しい耳鳴りやめまいなども伴い、平衡感覚が一時的に失われるケースもあるそうです。

 厚生労働省では突発性難聴について、「突然の、文字どおり即時的な難聴、または朝目が覚めて気づくような難聴。ただし、難聴が発生したとき、就寝中や作業中など、自分がそのとき何をしていたかが説明できるもの」と定めています。

 前の日まではなにも問題なく生活していたのにも関わらず、朝起きたら耳が聞こえない、耳鳴りがうるさい、めまいがする、まっすぐに歩けない、平衡感覚が失われたため吐き気を催す、という状態に見舞われてしまいます。

 聞こえにくさは人によって異なるようで、キーンとした高音だけが聞こえない人、そして音自体が全く聞こえなくなる人もいるそうです。全く聞こえていない人はすぐに異変に気づき、病院や相談薬局へ症状を説明できますが、一部の音だけが聞こえないという人は、日常生活に必要な音は聞こえているので、難聴として気づくのが遅く、治療等が遅れ治りにくくなるといったケースもあるので注意が必要になります。

難聴の種類から見る突発性難聴

 まず、難聴の種類について見ていきましょう。

①伝音性難聴

伝音性難聴とは、外耳道・鼓膜・耳小骨など音を拾う器官になんらかの異常をきたし、耳垢つまり、中耳炎、鼓膜損傷といった影響があらわれます。この伝音性難聴は基本的に治療法が確立されているので、聴力が回復し元に戻ることが期待できます。

②感音性難聴

感音性難聴とは、内耳や大脳といった、音を信号に変換し脳に伝える役割を持つ神経系に異常が起こる難聴です。この感音性難聴の聴力回復は非常に困難とされています。メニエール症候群、先天性難聴、老人性難聴、騒音性難聴、薬剤性難聴、そして今回の突発性難聴がこれに分類されます。

 このように、突発性難聴は回復が難しいといわれる感音性難聴に分類されます。平衡感覚やめまい、吐き気は一時的なものなので比較的早く回復しますが、耳鳴りや聴力においてはその後の人生に影響を及ぼす恐れがあります。

突発性難聴の症状

・前の日はなにもなかったのにも関わらず、朝起きると家族の声が聞き取りにくい

・ある日突然電話の着信音が聞こえなくなった

・まったく聞こえなくなる人と高音だけ聞こえなくなる人がおり、聞こえにくさは人によって異なる

・聴力が改善したり、悪化したりと症状の波はない

・前兆して、耳の詰まった感じや耳鳴り、めまい、吐き気を伴う

・耳鳴りがするのでと耳鼻科で受診たら突発性難聴と診断されたという人もいる

・メニエール症候群のように難聴やめまい等を繰り返すことはない

・治っても耳鳴りや聞こえづらさは回復しにくい

 突発性難聴は、上記の症状を問診した際に確認、またさまざまな聴力検査や画像診断をおこなって診断されます。

発症後はすぐに病院や相談薬局に行くなどしましょう。

突発性難聴の原因

 実は突発性難聴の原因というものは現時点の医学ではまだはっきりとは明らかになっていません。

 有力なのは、音を感じ取って脳に伝える役割である「有毛細胞」が、なんらかの原因で傷つき、壊れてしまうことで起こると考えられています。有毛細胞に血液を送っている血管の血流障害や、ウィルス感染が原因と思われます。

 ウィルス感染が原因となる場合、ムンプス(流行性耳下腺炎)によって片耳が重度の難聴となることがあるのです。また、不顕性感染といい自覚症状がない状態でも突発性難聴が発症し、症状としてあらわれることもあります。

 循環障害では、聴力と平衡感覚をつかさどる内耳で血管の閉鎖や痙攣(けいれん)が起こることで発症するといった考えもあるそうです。

 他の原因としては、ストレスや過労、睡眠不足などが挙げられます。

 ストレスを受け交感神経の働きが活発化すると、血管の収縮によって内耳の血流が悪化することで、その結果突発性難聴を引き起こす場合もあります。

 ストレスが原因で免疫機能が低下すると、内耳障害につながるウィルスが再活性し、突発性難聴を引き起こすといった考えもあります。

 突発性難聴になられた方の多くは強いストレスを日常的に受けているのではないのかと思います。

 また、最近では糖尿病も関係があるともいわれています。

 糖尿病患者の人には聴覚障害を持っている方も多いのです。理由としては、加齢の影響だけでなく、血糖コントロールが不良であると全身の血管や神経の損傷が引き起こされることが明らかにされています。高血糖は神経にダメージを与えるのはもともと明らかになっているので、説明がつきます。

 ある研究では、糖尿病患者は糖尿病でない人に比べて聴覚障害のリスクが2.15倍も高いことがわかったと発表しています。さらに、60歳未満の糖尿病患者でも検証した結果、リスクはより高まり2.61倍まで膨れ上がったそうです。

 東洋医学の視点から見ても、陰陽五行と呼ばれる考え方において、「耳」と「膀胱」は同じ「腎」が関係しています。

 以上のことから、突発性難聴の決定的な原因は明らかになっていないものの、理論的には考えられる説は多く存在しています。

対策

 突発性難聴の治療は時間との戦いです。「放っておけばそのうち治るだろう」と放置するのはNGです。

 突発性難聴患者のうち1/3が完治、1/3が回復したものの難聴は残り、そして1/3が回復できないとのことです。

 理由としては、突発性難聴という疾患が、発症してから1ヶ月以内で症状が固定化されてしまうからです。

 そのため、発症がわかったら数日以内に耳鼻科や相談薬局といった医療機関に行きましょう。治療が遅れることで、耳鳴りや難聴が残る方も少なくないのです。

 耳鼻科や病院では薬やステロイドによる治療が主です。

 一方で相談薬局・薬店では、漢方や上質な健康食品といった身体に負担のないもので治療していきます。

【急性期の主な漢方薬】

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

・小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)

・柴蘇飲(さいそいん)

【慢性期の主な漢方薬】

・抑肝散加芍薬黄連(よくかんさんかしゃくやくおうれん)

・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

・加味逍遥散(かみしょうようさん)

・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)

※漢方薬はその人の体質に合ったものがありますので、ご自身の判断で買われるのではなく、必ず漢方の先生に相談してください

 予防としては、とにかくストレスを溜めないようにしましょう。趣味や興味のあるスポーツを行って積極的に身体を動かす、気心の知れた友人と遊びに行く、といったオンオフの切り替えをしっかりと行っていきましょう。

 お風呂にしっかりと入り、よく眠り、受けたストレスを溜めないことが肝心なのです。

まとめ

 何度もここに書かせていただきましたが、突発性難聴はある日突然その姿を現します。

 ストレスを溜めないことを意識しつつ、少しでも耳の聞こえや耳鳴りといった異常を感じたら、すぐに行動しましょう。