夢研究会

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丈夫な骨を維持するために

 人間の身体は206本の「骨」で構成されています。骨は体を動かす、脳や内臓を守る、体を支える、骨髄で血液をつくる、カルシウムなどのミネラルを貯める働きをするなど非常に重要な役割を担っています。今回は、骨が弱まると健康にどのような影響を与えるのか、丈夫な骨をつくる、または丈夫な骨を維持するための方法をお伝えしていきます。

「骨」について

 人間の骨は、1度作られたら終わりではなく、古くなった骨を「破骨細胞」が壊して「骨芽細胞」が新しい骨をつくる骨代謝が繰り返されています。そのため、骨折しても折れた部分が繋がって、再び動かすことができるようになります。しかし、加齢とともに身体の持っている再生能力が衰え、骨をつくる能力が低下していきます。

骨粗しょう症

 骨粗しょう症とは、骨の中のカルシウムやミネラルが溶け出すことで骨密度が低下し、骨がスカスカになった状態により、骨折がしやすくなる病気です。特に女性は50歳以上で発症しやすくなり、80歳以上になると半数以上の方が発症し、日本では約1,100万人以上の方が骨粗しょう症であるといわれています。骨粗しょう症の予防は、骨密度を中心に考えられていましたが、骨密度が正常値であるにもかかわらず、大腿部骨折をする可能性があることが研究により分かってきました。その原因は、人によって「骨質」に違いがあることです。骨密度の低下や骨質の劣化、またはその両方が影響して骨折のリスクを高めてしまいます。

骨密度:骨の主成分であるカルシウムやミネラルが詰まる量を判定する指標。

骨質:骨の強さを表す指標。骨が弱くなると骨折しやすい状況となります。

骨密度が下がる原因

1.加齢

  骨密度(骨の量の目安)は男女とも20歳ごろに最大骨密度に達します。40歳ごろまでは大きな変化はありませんが、加齢により徐々に低下していきます。

2.閉経

  女性は、閉経を迎える50歳前後から骨密度が大きく低下するといわれています。閉経すると女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌が減少して、骨密度が低下します。骨密度が低下すると、骨粗しょう症が起こりやすくなります。

3.その他の要因

  生活習慣により、骨密度が低下を招きます。例えば、喫煙、飲酒、コーヒー、インスタント食品や加工食品などの摂りすぎ、過度なダイエット、運動不足などが挙げられます。これらは、カルシウムの吸収が悪くなるので注意しましょう。

丈夫な骨をつくる栄養素

1.カルシウム

 丈夫な骨をつくるためにカルシウムの摂取は大切です。牛乳、乳製品、小魚、大豆製品や緑黄色野菜などにカルシウムが豊富に含まれています。カルシウムが不足すると骨や歯が弱くなります。不足状態が続くと丈夫な骨が形成できなくなります。特に閉経後の女性は骨粗しょう症が発症しやすくなったり、ロコモティブシンドローム(立つ、歩くなど移動するための機能が低下)により日常生活にも支障が出てきます。カルシウムは体重の1~2%程度含まれており、生体内に最も多く存在するミネラルです。その99%はリン酸と結合したリン酸カルシウムとして骨や歯などの硬組織に存在します。残り1%は血液、筋肉、神経などの軟組織に存在しています。骨粗しょう症を防ぐには、1日700~800mgのカルシウムを摂ることが必要です。

2.たんぱく質

 骨や筋肉を健やかに育むうえで欠かせないのがたんぱく質です。たんぱく質は、20種類のアミノ酸によって構成されており、筋肉や臓器、免疫物質をつくったり、栄養を運搬するために欠かせない栄養素なのです。人体の20%を占めており、年齢や性別に関係なく、健康や美容を維持するために大きな役割を担っています。

3.ビタミンB群

 たんぱく質が分解されるときに、ビタミンB群が不足していると有害物質がたまって骨と血管を傷めることが分かっています。ビタミンB群は、肉、魚、精製前の穀物、緑黄色野菜に豊富に含まれていますので摂るように心がけましょう。

4. ビタミンD

 丈夫な骨をつくるためにはビタミンDが不可欠です。ビタミンDは肝臓と腎臓で代謝されて活性型ビタミンDに変化し、カルシウムが小腸で吸収されるのを防ぎます。骨をつくる「骨芽細胞」の働きを促して骨や歯を形成し、血液凝固や筋肉、エネルギー、脂質の代謝においても重要な役割をしています。また、ビタミンDは油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」です。植物性の「ビタミンD2)と動物性の(ビタミンD3)に分けられます。植物性のビタミンD2はサケ、うなぎ、サンマ、シイタケ、卵などがあります。一方で、動物性のビタミンD3は日光を浴びることで身体の中でつくられます。夏の直射日光を長時間浴びることは皮膚が赤くなどダメージに繋がりますが、適度な日光浴は骨の健康に役立ちます。夏場あれば木陰で30分程度の日光浴、冬なら1時間程度のお散歩をすると効果的です。

骨を強くするための運動

 骨を強くするためには骨に負担がかかる運動を行うことが大切です。自宅で気軽にできるストレッチをご紹介します。

(1)「スクワット」

 スクワットは、ひざの曲げ伸ばしに関わる太ももの筋肉だけでなく、股関節の曲げ伸ばしに必要なお尻の太ももの筋肉や太ももの裏の筋肉も鍛えられるので効果的です。

 スクワットの方法:

①両脚を肩幅より少し広げて、足先を30秒ほど外側に開きます。

②腰を後ろに引くように5秒間かけてひざを曲げます。

③ 5秒間かけて元に戻します。

目標:5回~15回を1日2~3セット行いましょう。

(2)「片脚立ち」

 片脚立ちを行うと歩行の安定性が増し、転倒予防にもなります。また、立った脚の付け根に負担が強くかかるため、骨密度が上がることが報告されています。不安な方は、壁やテーブルにつかまりながら行ってください。体重を片脚に乗せることで、両脚立ちの倍の負担を与えることができるため、骨を強くする効果が期待できます。

 片脚立ちの方法:

①片方の脚を5~10センチ程度上げて、反対側の脚で1分間立ちます。

②反対側も同様に行います。

目標:左右の脚を1分間ずつ、1日1~3セット行いましょう。

(3)「背筋運動」

 背筋運動は、加齢に伴う腰椎の骨密度の低下を抑制し、背骨の骨折の発生を減らします。また、姿勢が良くなるので、転倒がしにくい身体になります。

 背筋運動の方法:

①うつ伏せに寝て、クッションなどを衣服とお腹の間に挟みましょう。この時に、おへその下あたりにクッションの真ん中ぐらいにくるのがポイントです。

②両手を腰に置いて、背筋の力で胸が少し浮くぐらいまで上体を持ち上げ、10秒間維持しましょう。

③元の状態に身体を戻します。

目標:1日5回、2~3セットを行いましょう。

まとめ

 「骨」は、私たちの身体や日常の活動を支える大切な役割を担っています。骨粗しょう症を予防し、骨を丈夫に保つことは、健康寿命を延ばすことにも繋がります。そのためにはカルシウムやたんぱく質、ビタミンなどバランスの取れた食事、生活習慣、ストレッチや運動などを行うことが必要です。高齢だから、運動が苦手だからダメだと諦めず、無理のない範囲で取り組んでみましょう。

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