夢研究会

  • よもやま話

梅雨時期の養生

 養生(ようじょう)とは、健康の増進に心掛け、病気を治すように努めていくことを意味します。
 
 今は夏に移行される季節(6月)=梅雨時期です。梅雨時期はその年度によって様々です。沖縄は5月初旬から6月下旬で、本州は6月から7月中旬です。日照時間も、日の出・日の入りにも大きな差が現れる時期です。

日照時間による体の変化

 季節と地域で日の出、日の入りが違ってきて、それに合わせようと身体は頑張ってくれていますが、生活リズムが狂うとその調整がきかなくなり、身体に変調が起こることになります。

 特に、梅雨時期は日照時間(図1参照)が短く、湿気が多くジメジメしているため、その湿気が身体に入り、不調を感じやすくなります。なんとなく身体が重だるい、食欲・気力がない・・・この時期は、天気と同じように気分も体調もスッキリしないと感じる方が多いです。中医学的にみると、身体にたまりやすい湿を嫌うのは、『脾=胃』です。

 脾­=胃は食べ物の消化吸収をし、全身に送り届けるとともに、水分の量なども調節してくれます。脾­=胃の機能が弱ってしまうと栄養の運搬や水分代謝が上手く出来なくなり、食欲不振・むくみ・疲れ・肌荒れなどの症状が出ます。

四季のバランスが崩れた現代  

 今まで、日本では四季がある程度はっきりしていました。近年では、季節のバランスが崩れ、春の積雪・夏の長雨、冷夏、猛暑・秋の猛暑・冬の温暖化など書いたらきりがないほどの異常気象が起こっています。そのような環境下で、身体も適応しようと頑張っていますが、環境の変化に追いつけないで様々な疾患が現れているのかも知れません。

 昔なら四季―春・夏・秋・冬の養生で対応出来ていた生活様式ですが、現代では気候変動の影響や生活様式の変化によって、それぞれの季節での対応では、対応しきれなくなっているのが現実です。

 例えるなら、夏は夏野菜を冬は冬野菜を摂取するなど、装いを変えたりして季節に合った生活をしていましたが、現代社会では、季節柄を問わず食物を摂取できたり、冷暖房の完備、食文化の多様性、気候の変動により、季節がバランスを崩し、どの四季でも当てはまる状態になっています。この様な環境下で様々な不具合が体内で起こり、複雑に絡み合って疾患となると、治療法を探すことが困難になってしまいます。

 不調の原因は一瞬で起こるというより、歳月を重ねて疾患として現れます。長年の食生活や、季節の過ごし方の積み重ねから疾患として現れるということです。単に、自律神経の疾患と診断されて、お薬を処方されている方が増加傾向にあります。

季節区分とは?

  暦は時代とともに変化しており、明治の初めまでは、太陰太陽暦(月の満ち欠け)で決めていましたが、現代では太陽暦(地球が太陽を回る周期)を世界的に使用しています。太陽暦は地球が太陽の周りを1周するのに約365日かかるため、それを季節としてあてはめています。

中医学から見た季節と五行と陰陽を合わせると

春の始まりは立春(2月4日)、夏の始まりは立夏(5月5日)、秋の始まりは立秋(8月7日)、冬の始まりは立冬(11月7日)と私たちの日常生活とはかなり離れた感覚ではないでしょうか?

立春から始まり冬至で1年と捉えてきました。春分(3月21日)・夏至(6月21日)・秋分(9月22日)・冬至(12月22日)

春分・・・・・・昼と夜の時間の長さがほぼ同じになる日

夏至・・・・・・一年で最も昼の時間が長い日(太陽の力が最も強い日)

秋分・・・・・・昼と夜の時間の長さがほぼ同じになる日

冬至・・・・・・一年で最も昼が短い日(太陽の力が一番弱まる日)

梅雨時期の体調不良とは

春の抑うつ状態と不眠(睡眠障害)をそのままにした状態で梅雨時期に入ると

【体感として】・手足が冷える・睡眠障害・肩がこる・関節炎(リュウマチ)・身体がだるい・神経痛・頭痛・気管支喘息・下痢・便秘 ・食欲不振・めまい・耳鳴り・むくみ

【精神的として】・集中力の低下・気分が上がらない・不安感・焦り・イライラ・精力減退

女性の6割が体調不良を訴えているのが梅雨時期です。

原因として

低気圧の影響・・・季節の中で低気圧の発生などが多い

気温の寒暖差・・・低気圧の影響で

日照時間の低下・・曇り・雨が多くて

湿気・・・・・・・低気圧の影響で雨が多い

湿邪・・・・・・・内湿と外湿の関係

中医学では

『湿邪』とは、病気をもたらす六淫の邪気の中にあります。

《内湿とは》

脾胃(肺脾腎)が冷えて湿気が溜る。体内の水分量とその質。

体内の水分代謝の異常や低下で蓄積された余分な水分。

《外湿とは》

雨の中や湿気の高い環境。外気の湿気は体内に入り影響を及ぼすこともある。

湿の様々な呼び名

痰飲(たんいん)・・・停滞した水(津液)が肺に存在していること

水腫(すいしゅ)・・・体表面付近(肌・関節)に存在していること

湿(しつ)・・・・全身にまんべんなく存在している

水滞(すいたい)・・・水(湿・津液)の排出が停滞している状態、冷え込むタイプ

水毒(すいどく)・・・水滞によって病的な代謝障害が起こっている状態。

この湿を自分で調整することで、気と血のめぐりが良くなり、次の季節(特に夏バテ)などを乗り切れる身体を作ることが出来ます。

まとめ

 今回は梅雨時期の養生というテーマで掲載させていただきましたが、季節を問わず日常生活において『疲れがなかなかとれない』『体調がすぐれない日が続く』など、放置すれば体はますます悲鳴をあげていきます。この記事を読んでいただいて、皆様の健康意識が高まれば幸いです。