- よもやま話
春は冬の充電期間を放出する季節とされています。草木が芽吹き、開花するように人間の体も活発になっていきます。今回は、季節の変わり目を健やかに過ごすためのヒントや春の時期に起こりやすい体の不調や邪気から身を守るための対策をお伝えしていきます。
新学期、就職、転職、新年度など新たな環境で気持ちを入れ替えて生活を始められる方も多いのではないでしょうか。
新たな出会いや環境の中でワクワクする一方で、環境の変化や気温の寒暖差によって自律神経のバランスも乱れがちになってきます。
自律神経が乱れると不眠症状、集中力低下、慢性的な頭痛や肩こり、腰痛、胃痛、腹痛、便秘、下痢、過緊張、食欲不振など身体的、精神的な不調をきたす引き金にもなってしまいます。
私たちの体の働きを調節してくれる神経は、自律神経と呼ばれ、交感神経と副交感神経があります。この2つの神経が自分の意志とは関係なく、バランスよく働くことで内臓をコントロールしています。ポイントは自分の意志ではコントロールできない点です。
交感神経と副交感神経は24時間365日、働いています。どちらか一方だけスイッチが入っても機能しません。その為、交感神経の働きが強い時は「交感神経が優位」、副交感神経の働きが強い時は「副交感神経が優位」と表現します。
仕事や対人関係、イライラ、不安など多くのストレスによって交感神経が優位になりがちです。病気や症状の80%以上が交感神経優位の状態で起きています。交感神経が優位になると血液がドロドロに汚れてきます。その結果、血流が悪くなり生活習慣病を招いてしまう事が多いです。ストレスの感じ方は人それぞれであり、一概にはどの程度のストレスが負担になるかは単純比較できません。
ストレスに強いタイプ:主体的、楽観的、外交的。
自分自身を肯定して生きている人。
ストレスに弱いタイプ:真面目すぎる、几帳面、頑固、プライドが高い。
心配性などの性格的要因のある人。
交感神経は、体と心が「興奮状態」の時に優位に働きます。例えば、運動している時に心拍数が速くなる時などです。
ストレスには「正のストレス」と「負のストレス」があります。例えば、お子様が受験に合格したとします。「やったー!」と喜ぶことは嬉しいことですが、興奮した状態となり、正のストレスの一種となります。この興奮状態が続くと眠れなくなることがあります。
交感神経が優位な時に出やすい症状として、頭痛、首肩こり、腰痛、胃痛、腹痛、便秘、下痢、過緊張などがあります。交感神経の緊張をもたらす最大の原因はストレスです。交感神経は活動時に働く神経なので肉体的、精神的、物理的、化学的にも刺激されることで活発になります。興奮した時、驚いた時、ストレスを感じた時、緊張した時、不安を感じた時、危険を感じた時など多くの要素が交感神経の緊張をもたらします。
副交感神経は、心と体が「リラックスしている状態」の時に優位に働きます。体の力が抜けて脈がゆっくりとなる時です。
副交感神経はリラックス状態の時に優位になるため、体に良いと思われがちですが、副交感神経の働きが強すぎると頭痛、だるさ、朝起きられないなどの症状があります。副交感神経のスイッチが入るタイミングは睡眠中、リラックスしている時、癒しを感じた時などに起こります。
1. 太陽光を浴びる。
2. ゆっくりとお風呂に浸かる。
3. 継続できる趣味を見つける。
例:ヨガ、ダンス、スポーツ、音楽鑑賞など
4. 適度な運動
例:ウォーキング、ラジオ体操など
5. 朝食を食べる。
ヨーグルト、食物繊維が豊富な野菜、果物など。
6. 温泉や旅行など五感を使う行動もおすすめです。
(体内の気を高める)
鶏肉、キャベツ、かぼちゃ、じゃがいも、長芋など。
(気の巡りを良くする)
玉ねぎ、大根、柑橘類など。
(肝の働きを補う)
レバー、人参、イカ、ブリ、かつお、黒ゴマなど。
自律神経と共に、この時期、注意したいのが寒暖差疲労です。聞きなれない言葉かも知れませんが、室内外などの気温差が7℃以上の変化にいると自律神経の働きにより、体内を一定の状態に保とうと体内エネルギー消費します。エネルギー消費が大きくなり、体温を調節しようとする時に体に負荷がかかり、この時に疲れを感じると言われています。これを寒暖差疲労と言います。
寒暖差疲労の状態になると冷え性、頭痛、首肩こり、めまい、イライラ、不安、胃腸障害などさまざまな症状が起こります。
寒暖差疲労の予防として、入浴がおすすめです。シャワーで済ませるだけでなく、しっかり湯船に浸かり、体を温めることにより、全身の血行が良くなり、リラックス効果が生まれます。その結果、自律神経のバランスも整いやすくなり、寒暖差疲労の軽減に繋がります。
この時期は、自律神経のバランス、寒暖差疲労にも注意を向け、適度な運動、バランスの摂れた食事と水分補給、十分な休養、体を温めて体と心の健康に気をつけていきましょう。