夢研究会

  • よもやま話

あなたは腎臓の事を気にしてあげていますか?

 腎臓は腰の上あたりに左右一つずつある、そらまめ型をした臓器です。一つが約150gほどで、大きさは握りこぶしくらいです。
内側のへこみから尿管や動脈・静脈が出入りしています。大動脈から直接流れ込んだ血液は細かい枝に分かれて糸球体という濾過装置にたどり着きます。そこで濾過された原尿は、長い尿細管を流れる間にさらにいるものといらないものの出し入れが行われ最終的に尿ができます。不要な老廃物が除かれた血液は大静脈に戻っていきます。
今回はそんな大事な役割をしてくれている腎臓の事を知りましょう。

腎臓の働き

腎臓は尿を作るだけでなく、体内の“見張り番”の役目があります。この働きにより、身体はいつもバランスが取れた状態を維持し、健康に過ごすことができます。

1. 尿を作ります

体内でできた老廃物を尿として排泄します。
また、体内に必要なものは再吸収します。

2. 身体のバランスを調整します

尿量を調節して体内の水分量を一定に保ちます。

尿中の電解質(ナトリウム・カリウム等)の量を調整して濃度を一定に保ち、身体のむくみを防いだり、神経の伝達や筋肉の動きをスムーズにします。

3. ホルモンを作ります

血液(赤血球)を作るホルモンを分泌し、貧血を防ぎます。

血圧を調整するホルモンを分泌し、血圧を一定に保ちます。

骨を丈夫にするホルモンを分泌し、腸のカルシウム吸収を促して強い骨を作ります。

腎臓の構造

腎臓は、糸球体と尿細管に大きく分けられます。また腎臓は、機能上ネフロンという単位で成り立っており、ネフロンは片方の腎臓に100万個もあり、ここで尿を作っています。

1. 糸球体−

血液をろ過する働きがあります。(毎日150L)

腎臓に流れ込んだ血液の約20%、小さな分子の水、電解質(ナトリウム、カリウムなど)、尿素やクレアチニン、ブドウ糖やアミノ酸、ビタミンなどがろ過されます。この糸球体は、尿細管に続いています。

2. 尿細管−

糸球体でろ過されたろ液成分を調整する働きがあります。

身体にとって必要なものまでろ過され、尿として排泄されてしまうことがないようにしなければなりません。このため必要に応じて再吸収します。約99%が再吸収され、残り1%が尿になります。

腎臓病の予兆

症状は一人一人異なりますが、よくみられる症状には以下のようなものがあります。

・いつもより脱力感を感じたり、疲れやすい

・手足がむくむ

・息切れが起こる

・食欲がなくなり、体重が減る

・口の中で変な味がする

・吐き気が起こったり、吐いてしまう

・いつものように眠れない

・皮膚がかゆくなる

・筋肉痛が起こったり、足がつったりする

・皮膚がいつもより黒っぽくなる

上記のような症状がある方は注意が必要です。

腎臓病の種類に関わらず、腎臓に障害がある、または、腎臓の機能の低下が3か月以上続いている状態を「慢性腎臓病(CKD)」といいます。慢性腎臓病(CKD)が進行すると、自然に元に戻ることはなく、老廃物や余分な水分が排泄されず徐々に体内に蓄積していき、腎臓の機能が15%以下になると透析などの腎代替療法の検討が必要となる末期腎不全の状態となります。初期には自覚症状が少ないため、気づかないまま病状が進行してしまう場合も多いのが特徴です。

また、慢性腎臓病(CKD)があると、心筋梗塞、心不全、脳卒中など、心血管病を発症するリスクが高まるとも言われています。

慢性腎臓病(CKD)の原因

慢性腎臓病(CKD)の原因にはさまざまなものがあります。糖尿病や高血圧の他に、慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎などがあります。

慢性腎臓病(CKD)の原因となるさまざまな疾患があります。

・糖尿病

糖尿病になると、インスリン不足によって血糖が上昇します。その結果、全身の血管が傷つき、徐々に慢性腎臓病(CKD)を引き起こすことがあります。

・高血圧

高血圧があると心臓と全身の血管に大きな負荷を与えるとともに、腎臓の毛細血管にも損傷を与えます。腎臓が障害されるとさらに血圧が上がりやすくなるという悪循環に陥り、慢性腎臓病(CKD)を引き起こす可能性があります。

・多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)

多発性嚢胞腎は先天性の疾患で、腎臓に液体で満たされた嚢胞が作られることで、腎機能が悪化し、最終的には慢性腎臓病(CKD)を引き起こします。

・慢性糸球体腎炎

慢性糸球体腎炎は腎臓の非常に小さいフィルター(糸球体)が損傷し、糸球体の役目である老廃物や水分の除去ができなくなる腎臓病の一種です。このため、最終的には慢性腎臓病(CKD)を引き起こします。

上記のような状態などにより、慢性腎臓病(CKD)が進行すると、血液から老廃物や水分をろ過する機能が失われていきます。適切な治療や健康的な生活習慣に気を付けることで、生活の質を維持するよう心がけましょう。

慢性腎臓病(CKD)のステージ

糸球体ろ過量(GFR)は、腎臓の中にある糸球体がどれくらいの老廃物をろ過することができるかを示す値です。「mL/分」という単位ですが、おおよそ腎機能のパーセンテージに対応しており、GFRが75mL/分であれば、腎機能が健康時の75%程度と考えることができます。

日常診療では、より簡単に腎機能が評価できるよう、クレアチニン値と年齢、性別という三つの要素から計算されるeGFR(推算糸球体ろ過量)が幅広く用いられています。

G1:eGFR値90以上 正常

G2:eGFR値89~60 軽度低下 生活改善

G3a:eGFR値59~45 軽度~中等度低下 生活改善、食事療法

G3b:eGFR値44~30 中等度~高度低下 生活改善、食事療法、薬物療法

G4:eGFR値29~15 高度低下 生活改善、食事療法、薬物療法、透析・移植について考える

G5:eGFR値15未満 末期腎不全 生活改善、食事療法、薬物療法、透析・移植の準備

保存期の治療について

薬物療法に加えて、慢性腎臓病(CKD)の初期段階から食事療法を行うことにより、病気の進行を遅らせることが期待できます。 必要な栄養を摂りながら、腎臓に負担のかからない食事を摂ることが重要です。

【食事療法について】

・たんぱく質のコントロール

腎臓の働きが低下している場合、たんぱく質の取りすぎは腎臓の血管を傷つけます。また、体内に老廃物を蓄積することにつながりますので、たんぱく質を制限します。ただし、摂取不足は体重や筋肉の減少をもたらしますので、適切にとることも大切です。

・塩分のコントロール

塩分を多く摂取すると喉が渇き、水分が欲しくなります。塩分のコントロールは適切な血圧維持の上でも重要です。

・エネルギーの確保

人間が生きていく上で、エネルギーは必要不可欠なものです。 食欲が乏しく、エネルギーの摂取が十分でないと、体に蓄えた脂肪や筋肉組織がエネルギーとして燃焼され、体重が減ってしまいます。毎日十分なエネルギー量を摂取することが大切です。

・リンのコントロール

リンは体内のカルシウムと結合して、骨や歯を丈夫にします。腎機能が衰えると、血中にリンがたまり、体はバランスを保つために骨からカルシウムを取り出すため、骨がもろく弱くなります。リンの取りすぎは血管を傷つけることにもつながります。従って、リンの摂取量を減らすことが必要です。
リンはたんぱく質が豊富な食品に多く含まれます。たんぱく質を食事から完全に取り除くことはできませんので、リンも同様に食事から摂取しないことは不可能です。そこで、医師が処方した薬剤を服用することになります。

・カリウムのコントロール

腎臓に障害があると、カリウムが体内に蓄積されてきます。血中のカリウム濃度が高くなりすぎると不整脈が起きたり心臓が止まることがあり、非常に危険です。
カリウムは、豆類、果物、生野菜に多く含まれています。

・水分のコントロール

腎機能低下の段階によって、尿量の変動がみられます。
腎臓病の早期段階では尿中の毒素を体外に出そうとして多尿になりますが、一般的に腎不全状態が進行するに従い、尿量は減少して行きます。また、尿の出が悪くなると、水分が体内にたまり、むくみや息切れなどが起こることがあります。

【食事がうまくできているかどうかの判断は?】

食生活がうまくできているかの判断は、体重の増減、 血圧測定および血液検査を参考にします。定期的に血液を採取して、カリウム、リン、尿素窒素、およびカルシウムの濃度を測定します。塩分を取りすぎると体に水とナトリウムがたまる結果、体重が増加したり、血圧が高くなります。

食事療法の内容は病気の状態や年齢、活動の具合など、人それぞれで異なります。また、病気の進行具合によって、制限の内容もかわってきます。
主治医や管理栄養士に定期的に相談し、自分に合った食事療法を続けることが重要です。

【食事療法を継続するコツ】

たんぱく質を含まない食品を上手く利用する。

(例)たんぱく質を多く含む肉、魚、卵などは、たんぱく質を含まないこんにゃく、きのこなどと組み合わせて調理し、満腹感を得る。

調理や味付けを工夫して、おいしく食べる。

(例)あつあつのてんぷらをレモンで。
からし、唐辛子、わさび、生姜などの香辛料を活用する。

治療用特殊食品を活用する。

(例)たんぱく調整ごはん、でんぷんもち など

まとめ

【自分の気持ちと向き合う】

慢性疾患と診断されることは、人生においてとても大きな出来事ですので、医師から診断を聞き、複雑な気持ちを持つのもごく当たり前のことです。最初は、予想外の検査結果にショックを受けたり、悲しくなったり、慢性疾患とともに生きなければならないことを怖いと感じるかもしれません。治療を続けながら、身体的、精神的に健やかな生活を送るためには、こうした気持ちとの向き合い方を知ることも大切です。

慢性腎臓病(CKD)を治療・管理していく間には、精神的につらく感じることもあるでしょう。そうした感情を持つことは、慢性疾患では当たり前のことであると受入れ、認める気持ちを持ち、日々の生活の中で、気持ちをできるだけ前向きに変えられるような機会を探してみましょう。

夢健究会

ライター

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