- よもやま話
カビは私たちの日常生活において身近な存在で、植物の一種であるため怖いイメージがありませんが、実際にはアレルギーやぜんそく等を引き起こす原因となります。特に湿気の多い季節や場所では、簡単に繁殖していきます。カビにはさまざまな種類が存在しますが、無害なカビもあれば、有害なカビも存在し、人体への影響はさまざまです。浴室に発生しやすい黒カビ・赤カビについて学び対策していきましょう!
きのこや酵母を含め、真菌と呼ばれる微生物であり、糸状の菌糸先端から栄養や水分を吸収し、伸びていきます。食べ物の表面にカビが生えたと気づくのは、この菌糸が伸びて菌糸体を作った状態の時です。成熟した菌糸から胞子を作りますが、この胞子はカビの種類によってさまざまな形があります。カビの種類は今まで約10万種が知られ、その中には有益なカビや有害なカビがあります。一概にカビのすべてが悪いわけではありません。
カビの種類は諸説ありますが、約10万種と言われています。現在も年々新しい種類が発見されています。人類にとって、一番身近な生物と言っても過言ではないかもしれません。そんなカビですが、住宅で生える代表的なものは2種類のカビです。
・黒カビ
・赤カビ
それぞれの特徴を解説していきます。
・黒カビ
黒カビは、一度生えると根を張る厄介者です。本来土の中にいる菌ですが、胞子が非常に軽く、空気中を浮遊して家の中に入ってしまうこともあります。フワフワした白カビとは異なり、素材に対して深く根を張るのが特徴です。表面だけを取り除いても根が残っていれば再発するおそれがあるので注意が必要です。
黒カビは室温20~30度で、湿度は70%を超える場所を好むので、浴室や洗濯機、エアコンなどが発生しやすいです。また風通しの悪い湿気の多いところ(押し入れやタンスの後ろなど)にも発生します。ほこりや汚れなどから繁殖の原因となりますので、掃除を怠らないことが大切です。
黒カビの胞子を吸い込んでしまうと、アレルギーやぜんそくなどを原因につながります。またエアコン内部に黒カビが発生していると黒カビの胞子が飛散され、人によっては夏型過敏性肺炎などを発症してしまう可能性がありますので、黒カビが内部に見えたら業者を呼んで掃除してもらうことをお勧めします。
・赤カビ
とにかく繫殖が早いのが特徴で、浴室などの水回りでよく見られます。ピンクや赤っぽい色のヌルヌルとした汚れが赤カビです。その正体は「ロドトルラ」という酵母菌の一種で、高温多湿な環境で活発に増殖します。浴室の床や壁、浴槽、洗面台、キッチンの排水口などでよく発生します。また、風呂桶や椅子、石鹸入れ・シャンプーボトルの底なども気付くと赤カビが大量に繁殖してしまう場所です。水分があればそれだけで増殖し、耐性が強いため、日々の掃除が必要です。
赤カビ自体は人体に悪い影響を与えません。しかし放っておくと赤カビをエサとする黒カビが繁殖してしまい、黒カビが増えてしまいます。黒カビを増やさないためにも、赤カビに注意していきましょう。
黒カビには健康に悪影響を及ぼす可能性があります。黒カビが発生する場所に長時間いること、黒カビに汚染された食品を食べることが原因となり、様々な健康被害が発生することがあります。黒カビによって引き起こされる健康被害の代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
【アレルギー症状】
浮遊する黒カビを吸い込んでしまうと、アレルギー症状が現れることがあります。鼻水、くしゃみ、目のかゆみ、皮膚炎などの症状が出てきます。
【呼吸器系】
黒カビを吸い込むと、呼吸器系にダメージを与える可能性があります。喘息の症状のほかに夏になると、咳や熱、喉のイガイガ感が出て風邪のような症状が現れる夏型過敏性肺炎は、トリコスポロンというカビを吸い込むことが原因となって発症します。
【消化器系】
黒カビに汚染された食品(菓子類、総菜類)を食べることで、消化器系のトラブルが発生することがあります。腹痛や下痢、嘔吐、吐き気、腹部膨満感、食欲不振などの症状が現れることがあります。
私たちが健康被害を防ぐためには、黒カビを発生させないことが大切です。湿気・湿度に注意を払い、室内を清潔に保つことが健康被害を防ぐためのポイントです。黒カビの発生により、重篤な症状を引き起こす場合もありますので、黒カビの発生に注意し、早めの対処を心がけましょう。
カビは私たちの日常生活に身近な存在です。カビを絶対に発生させないというのは、少し根気のいることになるかと思います。前述で述べたように赤カビは人体に悪い影響を与えることはありません。しかし、赤カビが黒カビのエサとなり、黒カビが繁殖していきます。
赤カビは小まめに、黒カビは見つけたら即退治していくことが大切です。注意してよく見れば、赤カビも黒カビも目にしっかりと見えるものですから、あとは掃除する気持ちを持つことです。後回しにしておくと、赤カビは黒カビのエサとなりますので、黒カビに浸食されていきます。黒カビは根を張りますので、深い根を張ってしまった場合、表面だけ掃除しただけでは、再発する恐れがあります。掃除したつもりでも、またすぐ黒カビが発生してくるかもしれません。定期的に掃除をしておくことが赤カビ、黒カビの発生を抑えることにつながります。毎日使用するところは特に注意しましょう。
赤カビは黒カビに比べると比較的、除去しやすいカビです。ですが、繁殖スピードが速いため掃除してもまた赤カビがある…なんてこともありますが、根気強く繰り返し掃除していきましょう。
軽度の場合、お風呂の掃除用洗剤などを吹きかけ、スポンジやブラシを擦ると簡単に取ることができるものもあります。それだけで、汚れが取れない場合は、赤カビは酸性なのでアルカリ性の重曹を使用すれば、きれいに取ることができます。さらに汚れがひどいものは、市販で売られている、【カビキラー・カビハイター】などを使用することをおすすめします。(塩素系漂白剤などを使用する際は、必ず換気を行いながら掃除するようにして下さい。また漂白剤には、皮膚を溶かしたり、目に入ると失明したりする場合もあります。使用する際は、注意してご使用するようにしてください。)
浴室の床、壁、排水口、風呂桶、椅子、石鹸入れ、シャンプーボトルの底などのヌメリには注意しましょう。ヌメリが残りやすい場所によく赤カビは発生しますので、定期的に掃除していきましょう。水分、湿度、温度、栄養源(埃、石鹸カス、皮脂)、酸素等の条件が揃っていることが発生条件になりますので、掃除、水分の除去、浴室乾燥などで対策しましょう。
赤カビを予防する方法として、50度以上のお湯をかけることで、ほとんどの菌糸が死滅すると言われています。やけどに注意しながら回しかけ、その後冷水をかけることで赤カビの発生を抑制することができます。ぜひやってみてください。
黒カビの掃除にも、【カビキラー・カビハイター・オキシクリーン・重曹】を使用することで除去することができます。塩素系漂白剤の方が強い洗浄力があるため、おすすめです。(カビキラー・カビハイター)酸素系漂白剤は塩素系に比べると洗浄力は落ちますが、漂白、除菌効果に優れています。重曹に関しては、洗浄力は落ちますが、安全に安心して使用できるものなので、酸素系漂白剤や塩素系漂白剤が苦手という方、小さなお子様、ペットがいる方はおすすめです。
黒カビも赤カビも掃除する際に、重曹、漂白剤をかけてから15分以上は放置するようにしてください。【使用方法は必ずお守りください】
日常生活において、カビは発生してしまうものです。カビにはたくさんの種類がありますが、特に目にするものは黒カビ・赤カビになると思います。昔はよく食品にカビが生えましたが、現在は酸化防止剤などの使用によりあまり見かけることも少なくなりました。カビのすべてが有害なものではありませんが、きちんと対策しておくことが必要です。定期的な掃除を心がけていきましょう。