- よもやま話
皆さま、長生きができるものなら長生きしたいですよね。日本は医療をはじめ、食事や健康法などが確立されつつあり、ご存じの通り昔に比べ健康寿命が延びています。そもそも日本国民は健康意識が高く、テレビなどでも健康情報が幅広く紹介されています。今回は、日本が長寿大国の理由や長寿の秘訣をお話し致します。
現在、平均寿命が公表されている国や地域の中で日本は、女性が香港に次いで2位、男性が香港、マカオ、スイスに次いで4位となりました。こうしたデータからも日本は世界有数の長寿国であることがわかります。
日本の長寿の理由は
・医療レベルが高く、医療体制が整っている
・国民皆保険制度で医療費が比較的安いため、病院にも行きやすい
・健康への意識が高く、検診などの機会が多い
・伝統的でヘルシーな食文化が定着している
などがあげられます。
医療体制や保険制度については、国や行政との関わりが大きな割合を占めます。しかし、健康への意識をより高めることや、食生活の改善などはご家庭や個人のレベルでも心掛けひとつでできることでしょう。
また日本人が長寿であるのは、勤勉で真面目な国民性やメンタリティーが少なからず影響しているのかもしれません。
男女平均 1位 84.3歳(2位はスイスの84.3歳)
男性平均 4位 81.5歳(1位はスイスの81.8歳)
女性平均 1位 86.9歳(2位は韓国の86.1歳)
平均寿命の話題になると、欠かせないのは男女差についてではないでしょうか。
前述のように、女性が88歳、男性が82歳でその差は6歳となります。
男性よりも女性の平均寿命が長い理由としては、「ホルモンの働き」「基礎代謝違い」「健康への関心度」などがあげられます。
まず、女性ホルモンが長寿の要因の一つです。女性ホルモンに含まれるエストロゲンが高血圧を抑制し、コレステロール値を下げる働きをします。女性の心血管疾患が男性に比べて少ないのはこのためです。「基礎代謝の違い」も平均寿命の差に影響を与えています。女性の方が男性と比べると基礎代謝が低く、男性よりも少ないエネルギーで生きていけるのです。そして、基礎代謝が少ない方が環境の変化に対応しやすく、長寿につながるとも言われています。さらに生活面においては女性の「健康への関心度」の高さが、寿命の長さと関係があるようです。女性の方が男性と比べると食事の栄養バランスを考慮するなど、生活習慣を見直し健康に気をつける傾向があります。また、月経の周期があることで、自身の健康状態を気にする習慣が身についているようです。
女性ならではのこうした習慣や傾向が、女性の寿命を延ばしているとも考えられます。
日本では昔から日本食が食べられてきましたが、食生活も変化により欧米風の脂質や炭水化物の多い食事が増えてきています。
では、なぜ日本人が欧米風の食生活になっても欧米諸国より長生きなのでしょうか。
①和食は資質が少なく、ビタミンが多かった
日本人はかつて肉類よりも魚が食卓に並び、豆腐、納豆、みそといった植物性のタンパク質を多く摂っていました。
大豆には悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールの数値を下げ、動脈硬化のリスクを軽減させる効果があると知られています。
また緑茶にはカテキンとビタミンCが、美肌や抗酸化作用があります。
しかし和食中心だったその時代は、白米の普及や一部の栄養素不足という事情もあり、日本人の平均寿命は現在の半分ほどだったのです。
②動物性タンパク質中心の欧米食生活の影響
現代の日本人の寿命が延びた大きな理由の一つとして、欧米の食生活には動物性タンパク質や脂質が多かったことがあげられます。タンパク質は私達人間の身体で、筋肉や内臓機能の維持、代謝に関係する栄養素です。
日本食は一汁三菜の野菜や穀類中心の食生活であったため、ミネラルやビタミン類は豊富でしたが、動物性タンパク質や鉄分などの栄養素が不足していました。
日本食では非ヘム鉄という植物性の鉄分が多いのですが、吸収率が悪く貧血になりやすいという問題もありました。
反面で肉類にはヘム鉄という吸収率の高い鉄分が多く、現在では貧血で苦しむ人も大幅に減少したのです。
また脂質はエネルギー源になるほか、細胞膜やホルモンの生成にも関係する大事な栄養素でもあります。
特に女性ホルモンは脂質から作られるため、安定した月経にも必要な存在です。
以前は動物性のタンパク質や脂質は生活習慣病につながると言われていましたが、現在では限度もありますが積極的に食べることが推奨されるようになりました。
高齢者で肉を食べる方の方が健康で長生きという統計もあるように、欧米風の食生活によるメリットも多いということがわかります。
元々の一汁三菜の食生活に欧米風の食生活がマッチしたことで、栄養バランスの取れた食生活になり、寿命の延長にもつながったのです。
近年では高齢者の孤食が多くなっています。
孤食は自分の分の食事だけしか用意しないため、栄養バランスを考えることが疎かになりがちです。
また、一人ぼっちの食事は食欲がわきにくい傾向にあり食事量が低下します。
すると、食事か必要なエネルギーや栄養を摂れなくなって筋肉量が減り、日中の活力が低下します。
さらに食欲がなくなり栄養不足に陥るという悪循環を引き起こします。
実際に元気なシニア世代の方に、誰かと一緒に食事を摂っているかと聞いたところ、「ほとんど誰かと食べている」と答えた方が7割、「時々一人で食べることもあるが、誰かと食べる事が多い」と答えた人が1割となり、長生きしている方の8割以上が共食をしているというデータがあります。
共食のメリットは栄養バランスの整った食事ができることだけではありません。
みんなと楽しく食事をすることで、家族や知人とコミュニケーションをとる機会ができたり、安心感や会話の楽しさが食事をさらに美味しく感じさせて満足感につながったりなどのメリットが多くあります。
また、会話を楽しみながらゆっくり噛んで食事をすることは、消化呼吸を促す効果にもつながるのです。
日本は世界でも有数の長寿国であるのは食事なども関係していたのですね。
ただ栄養バランスの整った食事をするだけでなく、家族や友人と楽しく食事をすることはメリットがたくさんあるので共食を日々の習慣にしてみてください。