- よもやま話
今回は入浴で得られる効果や正しい入浴法についてお伝えしていきます。
お風呂の歴史についてご存知でしょうか?
毎日、お風呂に入る習慣は銭湯が普及し始めた江戸時代です。昔は水が貴重で、一般家庭では手軽にお風呂に入れませんでした。銭湯ができ始めると江戸っ子を中心に人気がでました。しかし、都会から離れた農村には銭湯がなかったので、頻繁には入れませんでした。そこで、蒸し風呂を使っていたようです。密閉された風呂釜の中で少量のお湯を沸かし、自分も釜の中に入って、蒸気で身体の汚れを落としていたそうです。家庭でお風呂が全国的に普及したのは、昭和に入ってからです。水道やガスなどの環境が整ってから手軽に、好きな時間にお風呂に入れるようになりました。この頃からお風呂に入るという習慣が根付いていきました。
1.温熱効果
湯に浸かることで体が温まり、血管が広がり、血の巡りが良くなります。酸素や栄養素を含んだ新鮮な血液が全身を駆け巡り、血液中の老廃物や二酸化炭素が運び去られます。湯船に浸かることは、全身浴で温めるからこそ効果があり、シャワーだけでは効果が半減してしまいます。
2.静水圧効果
お風呂に入って「ふぅ~」と思わず声が出た経験ありませんか?これは全身が水圧で縮む静水圧によるものです。この作用が全身への穏やかなマッサージ効果を生みます。水圧で末端に滞っていた血液や体液が心臓に押し戻されるので、特に下半身のむくみの解消に効果的なのです。
3.浮力効果
浮力の法則で、水の中では浮力がかかり、体重が軽く感じられます。首までお湯に浸かった場合、お湯の中での体重は、約10分の1になります。つまり、体重50kgの人であれば水中では5kgになります。全身の重力から解放されることで、関節や筋肉の緊張が緩み、全身がリラックスした状態になります。
人間の体温が1~2度変わるだけで、体調に変化が起こります。お風呂も同様に、温度が変わることで体への効果が変わってきます。「40度」が入浴の適温とのことです。
41度以上の熱いお湯に浸かると、交感神経が優位になります。また、血液の上昇、脈拍は高まり、筋肉は緊張します。一方で内臓の働きは弱まり、食欲が一時的に軽減します。
人間の体は体温が1℃下がると、基礎代謝や免疫機能が低下し、体内酵素の働きが鈍くなり、肥満、感染症、ガンなどさまざまな体調不良や病気を引き起こすと考えられています。40度のお湯に10~15分程度、浸かることで体温は約1度上昇します。寒い日や疲れた日は入浴で体温を上げておくことで、体力回復や病気予防にもつながります。
お湯に浸かる時間が30分を超える長風呂は、体への負担が大きくなります。
1.脱水症状を起こす場合があります。
1回の入浴で800ml程度の脱水をしています。入浴前、入浴後は水やイオン飲料などの水分補給を行いましょう。
2.お肌が乾燥しやすくなる。
皮脂やお肌本来の保湿成分が洗い流されてしまい、お肌を守るバリア機能が低下して乾燥肌になってしまう場合があります。スキンケアタイプの入浴剤や入浴後の保湿ケアをすると良いでしょう。
3.寝つきが悪くなる場合があります。
42℃を超える熱いお湯に長時間浸かっていると、交感神経が優位に働きます。頭が冴え、興奮状態となり、睡眠に影響を及ぼす場合があります。
4.心臓な肺への負担がかかる。
お湯に浸かると身体に水圧がかかり、血液やリンパの流れが良くなるといった効果がありますが、お湯に浸かる時間に比例して心臓や肺への負担も大きくなります。身体への負担を少なくするためには、半身浴もおすすめです。全身浴ほど水圧がかからないため、心臓や肺への負担も和らぎます。しかし、冬場は上半身が冷えないように注意していきましょう。
1.良質な睡眠を取りたい時
38~40度のゆるめのお湯に10~15分程度浸かる。
2.ストレスを和らげたい時
40度以下のお湯にゆっくり浸かる。
3.足のむくみや疲労回復をしたい時
40度前後のお湯に肩まで浸かる。
4.お肌の調子を整えたい時
40度前後の少しぬるま湯に浸かる。
1.脱衣所を温めておく。
2.浴室の床に温水シャワーをかけて室内を温める。
3.入浴前にグラス1杯のお水を飲む。
4.浴槽にいきなり入らず、かけ湯をする。
5.40℃のお湯で10~15分の入浴時間
6.入浴後にグラス1杯のお水を飲んで、水分補給をしましょう。
これから暑くなり、面倒だからとシャワーだけで済ましている人もいると思いますが、シャワーだけでは疲れは取れません。お風呂にゆっくり浸かり、その日に溜まった疲労物質を洗い流し、身体も心もさっぱりしましょう。お湯に浸かると、副交感神経が優位になり、良い睡眠につきやすく、疲労回復にもつながります。
これから暑くなる季節ですが、元気に過ごしていきましょう。