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東洋医学を知って健康知識を高めよう!

 東洋医学という名前を聞くと、中国における伝統的なイメージを思い浮かべるかもしれませんが、正確にはアジア発祥の医学を総称して『東洋医学』と言います。中国では『中医学』、韓国では『韓医学』、日本では『漢方』、これらは全て、その国に根づいた伝統的な医学です。地域や文化を反映して、発展してきました。東洋医学があまり認知されていないのは、アジアの地域においても、現代医学では西洋医学が主流になっているからです。今回は東洋医学の考え方などをお伝えしていきます。

東洋医学の考え方

 東洋医学は病院での検査データを元に病院を分析する西洋医学とは違って、患者さんの自覚症状などを重視します。その体の状態に応じて治療を行っていきます。そのため、『冷え』や『瘀血(おけつ)』なども症状の一つと捉え、病態を取り除いて症状を改善させることもあります。

 『瘀血』とは血液の流れが滞る事です。

 東洋医学が効果を発揮するのは、自律神経や内分泌系(ホルモンを分泌する器官)、免疫に関わる病態のことです。細菌による感染症や、ガンによる手術などの病気は得意としませんが、近年では西洋医学と東洋医学を融合したアプローチも取り入られています。

 東洋医学は、患者さん一人ひとりの病態を見極めながら、最適な方法を選ぶオーダーメイドとも言えます。

西洋医学の考え方

 西洋医学は欧米諸国で、発展した医療技術です。その治療方法は病によって起こる症状に対処することを目的とした薬物療法や手術療法です。血液検査や尿検査によって、細胞や遺伝子レベルから病気の原因を分析します。検査データの基準を超えてしまうと、『病気』と診断されます。病気の進み具合や、患者さんの体質、症状に合わせて、多数ある薬や、手術などによる方法を選ぶのが西洋医学です。

東洋医学における三要素

 東洋医学では人の体を構成する三要素を気・血・水(津液)としています。気とは、生命活動を営む根源的なエネルギーで、生体機能を維持しています。血は、生体を物質的に支える赤色の液体です。全身に栄養や酸素を運ぶ働きがあります。水(津液)は、生体を物質的に支える無色の液体です。体のあらゆる部分を潤します。

 人の健康は気・血・水が体内を正常に循環することで保たれています。体内の各臓器が正常に機能するには、気・血・水のバランスが非常に重要です。どれか一つでも過剰になったり、不足すると病気を引き起こしてしまいます。

 東洋医学では、気・血・水の状態を調べて、バランスが崩れていたら、改善するのが東洋医学の基本的な考え方です。気・血・水のバランスが整っていれば、病気にかかりにくい状態ができます。次項目では、東洋医学の基礎知識とも言える、気・血・水について詳しく見ていきます。

東洋医学における気とは?

 人間の気は、清気、水穀の精微、先天の精から生まれます。体外から吸い込むきれいな外気。これを清気と呼びます。また、飲食物を消化吸収して得られる、栄養のある物質が水穀の精微。生まれた時に両親から受け継ぎ、腎で保存されているのが先天の精です。先天の精は年齢とともに減少しますが、水穀の精微と清気を合わせてできる気によって補充します。

 気は、生命活動を維持する機能があります。体を温める、血や水、臓器を動かす、体を構成する要素をつくる、血や水が体外に漏れないようにする、病気の原因から体を守る、などです。気が乱れるとさまざまなトラブルが起こります。

・気虚(ききょ)気が不足した状態。内臓の働きが悪くなります。疲れやすくなったり、手足がだるくなることもあります。

・気滞(きたい)気の動きが悪くなる状態。胸や腹部が張ったり、痛みを感じます。

・気逆(きぎゃく)気が上部に逆行する状態。せきやぜんそくなど呼吸器系の症状、ゲップや吐き気などの消化器系の症状が起こります。イライラしたり、怒りっぽくなる、めまいが起きるのも気逆のせいと考えられます。

東洋医学における血とは?

 血は、全身を巡って各器官に栄養を与えます。脈管の中を流れる赤い液体が血ですが、西洋医学の血液の考え方とは若干異なります。食べ物を消化吸収して得られる水穀の精微の一部が脈管に入り、清気と結合します。それらは肝臓に貯蔵され、必要な部分に適度な量が送られます。不足した場合は心臓から送り出されます。血は、筋肉や骨格を成長させ、髪や肌に栄養や潤いを与えます。

 血は精神にも影響を与えます。血が十分にあり、循環していると、意識が清明で、精神も安定します。血が届かない部分は栄養不足となり、トラブルが起こります。

・血虚(けっきょ)血が不足した状態。顔色が悪く、立ちくらみが起こります。脈が弱く、動悸を感じることもあります。女性の場合、生理不順や経血量が不足します。目のかすみや渇き、不眠や物忘れといった症状を引き起こします。

・血瘀(けつお)血の流れが悪くなり、停滞している状態。顔色がどす黒くなり、舌や唇が紫になります。瘀血部分が慢性的に痛みます。脳の血流障害や目の下のクマ、顔のくすみが起こりやすくなります。

・血熱(けつねつ)体にこもった熱により、血が熱くなった状態。血が速く流れて脈管を破り、鼻血や吐血、血便、血尿など、体のさまざまな場所から出血します。熱くなった血は、ドロドロになって瘀血になりやすいです。

 吐血、血便、血尿など、体のさまざまな場所から出血します。熱くなった血は、ドロドロになって瘀血になりやすいです。

東洋医学における水とは?

 水(津液)は、血以外の水分のことで、「津」と「液」の二種類があります。津とは陽性の水分で、サラサラと体表部を潤します。体温調節を行い、余分な熱を汗や尿として対外に排出します。液は陰性の水分で、ゆっくりと流れ、目や耳、口などの粘膜にも潤いを与えます。

 水は、飲食物から水穀の精微ができる際、分離された水分のことをいいます。水は全身を巡りますが、血のように脈管の中は通りません。三焦という臓器の隙間を流れていきます。そこから肺によって、全身に行き渡ります。全身の水は腎に集められ、再び全身を循環するか、使えない水は排泄されます。水が不足すると、全身のトラブルにつながります。

・陰虚(いんきょ)栄養不足や臓器の不調、ストレス、過労などの原因から、津液が不足した状態になり、体のさまざまな部分が乾きます。のどの渇きがひどく、肌荒れや唇が荒れることもあります。関節の水が減少すると、体をスムーズに動かせなくなります。また、尿量が減り、便秘になることもあります。

・痰湿(たんしつ)水の循環が悪く、停滞した「病態」です。たまった水がさまざまな悪影響を及ぼします。水っぽいものが「飲」です。むくみや下痢につながります。症状が悪化してドロドロになったものが「痰」です。呼吸器に痰ができると、咳が出て胸が苦しくなります。消化器に痰ができると食欲不振になります。

まとめ

 今回は東洋医学と西洋医学の違い、東洋医学における三要素についてお伝えさせていただきました。東洋医学においても西洋医学においても病気によっては得意とするものもあれば不得意とするものがあります。

 ご自身の健康状態に合わせて自分のあった方法を選んでいきたいものですね!